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2009-06-16 07:51

民主党は「二都物語」をどうする 

杉浦正章  政治評論家
 厚労省局長・村木厚子の逮捕で郵便悪用事件の全容が展望できるようになった。全ては、発端が民主党首脳の依頼によるものかどうか、つまり「政治家がらみ」であったかどうか、に絞られてきている。政治家への事情聴取などへと発展すれば、再生民主党への打撃は計り知れない。永田町では、東京地検による「西松事件」と大阪地検による「郵政事件」を「二都物語」と呼んでかたずをのんで見守っている。まるで、鳩山邦夫の総務相辞任を待っていたかのような局長逮捕劇である。

 判明してきた全容は、民主党副代表・石井一の私設秘書だった倉沢邦夫容疑者(元凛の会会長)がキーマンとして暗躍し、厚労省に障害者団体の偽造証明書を作らせ、郵便局に郵便料金を割り引かせて莫大な利益をあげたというものである。厚労省は2005年当時、障害者自立支援法で野党の協力が不可欠の状況にあり、担当であった村木がこれに応じたのであろう。問題は、当時の村木の上司が地検に「民主党の国会議員から電話があり、証明書について依頼された。その後、倉沢会長と会い、村木局長に引き合わせた」と証言していることだ。石井事務所は関わりを全面否定している。疑惑の名前は石井の他に衆院議員・牧義夫の名前も取りざたされており、局長が“落ち”れば全てが分かることであろう。

 民主党代表・鳩山由紀夫は、同事件について「厚労省は襟を正さないといけない。二度と起きないような体質を、猛省してつくるべきだ」と、まるで他人ごとのようなコメントをしているが、焦点をわざと外している。全ての発端が、政治家の圧力にあった可能性が強いからだ。厚労省が政治家からの依頼のないまま“自発的”に偽造証明書を作るとは考えられない。しかし、自らの“出世”のためには永田町のダーティー部分も受け入れる村木の姿勢には、同情の余地はない。民主党執行部は、事態が「二都物語」へと発展した場合、どう対応するのだろうか。民主党議員が事情聴取された場合、事件が障害者団体への特典を悪用するという悪質きわまりないものであるだけに、これまでの同党の厚労省攻撃がマッチポンプのように見えてくるではないか。民主党のうたい文句である「政官癒着」批判は成り立たなくなる。

 朝日新聞は16日の社説で「捜査当局とは別に、厚労省、日本郵便は内部調査を急ぎ、その結果を全面的に公表すべきだ」と主張しているが、もっともだ。これに加えて民主党は党独自に疑惑議員らに対する調査をして、政党としての説明責任を果たす義務があろう。おりから19日には、西松建設前社長の初公判が予定されており、当然その過程でまだ説明責任が果たされていない小沢一郎の第一秘書逮捕との関係が明らかになってゆくだろう。西松事件といい、郵政事件といい、民主党が自民党の持つ古い体質をそのまま受け継いでいることを物語っている。折からの世論調査では民主党ブームが起きており、総選挙でも民主党の勝利が見えてきている。政権党になりたいなら、その前提にうみを出す切開手術が必要ではないか。 
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