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2009-06-08 07:34

首相の統治能力が問われている

杉浦正章  政治評論家
 政府・自民党の“内紛”に野党が“介入”し始めた。日本郵政の社長人事は、まさに首相・麻生太郎のリーダーシップが問われているのに、手を打たぬまま放置して、民主党代表・鳩山由紀夫から「鳩の乱」と揶揄(やゆ)されている。総選挙まで秒読み段階に入った段階においてである。何事にもてきぱきとした対応がいまほど必要なときはない。有権者は投票先判断の“政党成績表”にもう点数を入れ始めているのが分かっていない。先に筆者は、総務相・鳩山邦夫の動きについて裏に政界再編がらみの思惑があるのではないかとする見方を否定したが、6日の鳩山兄の発言を見れば明白だ。「麻生内閣のなかで閣内不一致で苦闘しているんであればですね、早く、それこそ大臣をお辞めになって新しい道を進められたらいかがか」と述べている。そして「どうもそのようにまで到っていないのではないかと思いますから」と付け加えた。

 一見仕掛けているように見えるが、明らかに再編話の段階ではないことが分かる。鳩山兄弟が再編を考えていると言えば、話は面白くなるが、極秘の話を記者団相手に“公言”するはずもない。問題がこじれている全ての原因は、麻生の判断ミスにある。麻生は「鳩山総務大臣の所管だし。株主は財務大臣。人事をやるのは官房長官。その3者で話し合うということだと思いますが」と自分の出番を封じてしまった。その結果、民間企業の人事が政治問題として肥大化の一途をたどる結果を招いてしまった。議論が議論を招いて、収拾がつかなくなりつつあるのだ。

 新聞社の社説も割れた。読売新聞が「人事案は白紙に」と書いているのに対し、朝日、日経、産経が「西川続投」を主張している。読売の社説は、一連の不祥事批判に引っ張られすぎていると指摘したい。社長・西川善文の総合点はまず、経営の黒字を維持している点を評価すべきであり、それが経営者たる者の最大の仕事だ。取締役会の続投決定もその意味で正しい。かんぽの宿問題は、第三者委員会で「許容の範囲」という結論が出ており、経営の大局から見れば、民放テレビや評論家が批判するように経営評価の全てではない。

 麻生が月末の株主総会までに結論を出せばよいと思っているとすれば、その間の野党の攻撃、国論の分裂はどうするのか。時が経つにつれて冒頭述べた選挙用の成績表に点数をつけてしまう国民は増えてくる。世襲制限も、首相裁断で前向きな表現をマニフェストに盛り込むことがささやかれているが、これも遅れては元も子もなくなる。政権党にとって事態は急を要する問題ばかりである。一部の批判は覚悟で、決断を立て続けにすべき時だ。それにつけても酔っぱらい財務相・中川昭一といい、遅緩の極みの官房副長官・鴻池祥肇といい、そして今度の猪突猛進総務相・鳩山弟といい、問題を起こすのは全部が全部麻生の“盟友”とはどういうことか。「友達を見れば底が割れる」。
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