国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百家争鳴」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-06-06 08:09

江戸時代が照らす世界の未来

四条秀雄  不動産業
 江戸時代は、閉鎖経済が200年近く定常状態を維持した時代で、地球規模の経済成長がその持続可能性を問われている現在の人類にとって、貴重な歴史的経験を提供していると思います。そのような観点から、以下に私なりの江戸時代の分析を提示し、皆さんとともに考えてみたいと思います。

 江戸時代の定常状態が成り立った第一の理由は、もちろん日本列島が孤立した地理的世界を形成し、その鎖国政策が成功したこともあって、基本的に外部からの均衡破壊の衝撃なしにその均衡を維持し得たということがあります。これは現在地球規模で地球が日本列島化していると考えればよいと思います。第二の理由は、人口の定常化に成功したことにあります。従って、江戸期の女性の状況がどうであったか、何歳ぐらいで結婚・出産したか、結婚出産に関連した慣習や言い伝えはどうだったか?そういうことを調べてみる必要があります。産児制限の実態はあったのか、あったとすれば、それはどのようなものだったのかも、調べてみる必要があることはもちろんです。

 第三の理由は、エネルギーの需給定常化に成功したことがあります。江戸時代のエネルギーは、木材と太陽とわずかな菜種油(行灯)だったと考えられますが、その生産・流通・消費の管理はどうであったのか。仮に江戸時代があと数百年続いていたとしても、木材資源は維持可能だったのか、などを調べてみる必要があります。第四の理由は、通貨価値の安定化にある程度成功したことにあります。その当時、最も重要な資源であったコメと通貨の関係に強い関心を持ち続けたことは、江戸経済の特色でしょう。日本列島各地のコメの多様な作柄情報をいち早く知って、真の価格を見つけることに役立った米の先物市場や、金属素材の生産に縛られることなく柔軟に行われた金属貨幣の改鋳は、米の増産と相まって江戸の豊かさを支えました。

 第五の理由は、古い政治・経済・文化の中心地である近畿から抜け出て、関東平野という新しい土地にもう一つの巨大な中心地(消費地)を成立させた、その二重展開の構造にあります。この二重構造は、欧州から抜け出た文明が、北米大陸という広い空間を手にして、もう一つの文明の中心地(消費地)を創出し、現在に至る今の世界はとても似ています。江戸と上方を軸にした物流網の整備や、三貨(藩札を加えて四貨)制度や巨大化した両替商の存在は、世界の未来に示唆を与えると思います。そして最後に、最も重要なことですが、200年以上続いた平和があります。外国との戦争はもちろんですが、国内においても内乱や内戦はありませんでした。こうした経済が、世界史に現実に存在したことは、人類にとって非常に重要な財産になると考えられます。そしてそれを分析してテキスト化することは、財産の価値をさらに高めることになるでしょう。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百家争鳴』から他のe-論壇『百花斉放』または『議論百出』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会