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2009-05-08 15:27

日本はキリギリスでいてよいのか

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 底の見えない景気、需要減少、企業倒産といった、世界どちらを向いてもダメという状況の中で、中国の存在感がじりじりと高まりつつある。その政治体制に内在する諸問題、さらには30年前の改革開放の始まり以来の分配の不平等、社会が抱え込む矛盾、そういった基本的課題が何も解決しない、どころか拡大しつつあるかに見えながら、国際的なプレゼンスは、一路重要度を増しつつある。

 タイで開催されたASEANが政治的混乱によって中止に追い込まれた際にも、いち早く自国への招聘の意向を表明した。アジアのダボス会議として評価の定着しつつある海南島におけるBoao会議の成功をふまえて、「会議外交」にも意欲を示している。ことは会議だけではなく、温家宝首相が外国通貨依存からの脱却をうたい、香港、インドネシア、マレーシア、韓国に対して人民元とのスワップ協定締結に成功しているのを見ても、欧米、あるいは韓国との関係だけに力点を置くかに見える日本の通貨外交とは異なり、ドル依存的体質からの意識的脱却を意図した(少なくともそのメッセージ性だけは伝えるのに成功した)ように見受けられる。

 アフリカ大陸への関心は1970年代のタンザン鉄道建設以来一貫した政策で、昨今のスーダン内戦への介入のみが世論にはクローズアップされているが、資源獲得のための触手はコンゴ、ザンビア、南ア、スーダンと至る所に張り巡らされている。中南米にも資源外交の手は伸び、米国が露骨な不快感を示したのも記憶に新しい。お膝元のアジアでは、さらにメコン川流域諸国であるミャンマー、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムとの密接な交流(というより経済援助)の網の目が張られ、ミャンマーから雲南省崑明に向けてのパイプラインも日程に上っている。

 他方、日本はと言うと、内需拡大も結構だし、バラまきによる土木国家再現も良いだろう。しかし、マクロな世界政策を念頭に置いた現実的施策を考える政治家はいないのか。核拡散防止、平和憲法護持はもとよりわが国外交の原点だが、キリギリスが美しい歌を歌っている間に、お隣のアリさんがせっせ、せっせと既得権益と能天気国家包囲網を作りあげているとしたらどんなもんだろう。それとも、そんな杞憂は忘れて、ブランディー・グラス片手に、葉巻でもすっていれば良いのかな。
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