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2009-04-14 00:00
(連載)「金正日・張成沢体制」が見えてきた(2)
大江 志伸
江戸川大学教授・読売新聞論説委員会特約嘱託
金正日総書記の実妹、金敬姫さん(党軽工業部長)は大学在学中、容姿端麗、頭脳明晰な張成沢氏に一目ぼれし、結ばれたとのエピソードが伝わっている。ロイヤル・ファミリー入りした張成沢氏は、金正日総書記の信任を得て、1995年に党の最有力ポストで国内統制を主導する党組織指導部第1副部長に抜擢された。韓国情報によれば、「独断専行ぶりが総書記の逆鱗に触れ」て2004年に失脚するも、06年1月に復権。07年10月の党行政部長就任後、急速に力をつけてきたとされる。ロイヤル・ファミリーの番頭格にのしあがった張成沢氏の国防委員会入りには、少なくとも2つの要素が深く関わっているのは疑いない。
第一は、金正日総書記の後継者問題である。2008年8月半ば、脳卒中で倒れたとされる金総書記は、最高人民会議のひな壇に姿を見せ、健在ぶりをアピールした。しかし、久方ぶりとなる動画の即日放映は、金総書記の肉体的な老いと衰えをはっきりと映し出していた。最高指導部内で、金総書記の執務不能、死亡といった危機対応が、現実的課題として浮上した可能性はきわめて高い。その具体策が、張成沢氏の国防委員起用なのではあるまいか。
後継者問題では、北朝鮮が節目の年とする2012年(金日成生誕100年、金総書記70歳、「強盛大国」建設目標年)ごろまで、長男正男氏(37)、異母弟である次男正哲氏(28)、三男正雲氏(26)の3人から選ばれる、と見る専門家は多い。正男氏は、名実ともにナンバー2に浮上した張成沢氏が後ろ盾との説もある。正哲氏は最重要ポストの党組織指導部副部長に抜擢されたとされる。正雲氏は軍部の要職につき、朝鮮人民軍総政治局が「総書記が指名した」との通達を出したとの情報も流れた。
しかし、2012年の世襲後継はないというのが、筆者の予測である。幼いころから父・金日成から帝王学を受け、変転著しい内外情勢の陣頭指揮を執ってきた総書記に比べ、3人の息子はいかにも経験不足、能力不足だ。北朝鮮を取り巻く情勢は、権力世襲で乗り切れるほど生易しいものではない。そのことは、総書記はじめ現指導部の面々が肌身で知っているはずだ。今回の張成沢氏ナンバー2浮上は、(1)金正日体制の強化、(2)総書記「有故」に備えた、張成沢氏を中核とする集団指導体制の確立、の二段構えの狙いがあると見るべきである。仮に第3段階の権力世襲があったとしても、張成沢氏をキーパーソンに後継体制作りが進むのは確実だ。いずれにせよ、張成沢氏は、ポスト金正日を担う後継者ポストに限りなく近い位置を占めたのである。(つづく)
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