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2009-04-10 00:00
(連載)東アジア首脳会議(EAS)に向けた日本の立場(3)
関山 健
東京財団研究員
去年の10月に、韓国メディアは「豊富な外貨準備を持つ韓国、中国、日本の3カ国が軸となり、輸出低迷などによるドル資金不足に対応し、外貨準備の共有チャンネルを確保するため、アジア版IMFを創設せよ」と、いっせいに取り上げた。これに対し、日本はどう考えているのか。アジア版IMF構想は、もともと1997年のアジア通貨危機の際、日本が積極的に提唱した考えであるが、現在の日本の立場と態度はどうなっているのか。
97年当時は、アメリカが東アジアにおける自国とIMFの影響力の低下を恐れて、アジア版IMF構想に反対した。また、通貨金融危機の影響を受けていなかった中国も、日本の影響力拡大を好ましく思わず、消極的であった。このため結局アジア版IMFは実現しなかった、と日本では理解されている。
現在の世界金融危機に対して、日本はIMFの強化を主導しているが、IMFだけでは万全でない可能性もある。IMFに加えて、アジア域内の金融危機にアジア諸国が協力して対処する枠組みが存在することは好ましいことである。実際、日本は、97年にアジア版IMF構想が頓挫した後、これに代わるものとして、対外債務の返済が困難になった国にドルを融通する「チェンマイ・イニシアチブ(CMI)」の構築を主導し、現在では16本の二国間協定がアセアン+3諸国の間で締結されている。
今年2月に開催されたアセアン+3財相会議では、(1)CMIの総額を800億ドルから総額1200億ドルへ増額すること、(2)域内の経済や為替、金融監督を一元的に監視する独立した事務局を設立すること、(3)二国間協定の内容を一本化し、支援決定時に関係国が1カ所に集まって意思決定する仕組みを整えることを合意した。これらの計画が実現すれば、事実上アジア版IMFができることになる。こうした取組みも、東アジア地域協力におけるde facto方式の典型例であろう。(おわり)
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