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2009-04-08 00:00
「小沢続投」宣言は「政権獲得」宣言と矛盾する
杉浦正章
政治評論家
強気の「続投宣言」と「政権獲得宣言」はどう見ても矛盾する。任期4年目に入った民主党代表・小沢一郎の4月7日の発言である。ごうごうたる世論の声にも馬耳東風のごとく、小沢は「当初の目標に向かって、みんなと一緒に頑張りたい」と続投を明言した。加えて、「現時点では民主党が必ず政権を取れると認識している」と付け加えた。話は逆ではないか。小沢が辞任すれば政権が取れるのであって、辞任しなければ取れない。なぜ取れないか。次期総選挙は、国民が首相を選ぶ選挙だ。その選挙で土建屋体質にどっぷり浸かった首相を国民が選ぶ、とでも思うのか。私は思わない。民主党も情けない政党になったものだ。自明の理が分かっていない。
解散が切迫している中での発言であり、進退を「総選挙の勝ち負けで判断する」という言葉もうつろに響く。なぜなら1、2カ月で解散という状況下で、「党首選挙」などやっている暇があるかということである。恐らく小沢は辞任のタイミングを失った。むしろこのままどさくさにまぎれて、時間切れで逃げ切る判断だろう。その背景には総選挙でそれほど負けないという読みがあるに違いない。しかし小沢の見方は二つの面で甘い。一つは、第一秘書の起訴で政治が攻守ところを変えた点だ。他の一つは、世論調査などの動向で政府・与党の引き潮が終わり、むしろ上げ潮感をもたらすに至っていることだ。
攻防の変化は、民主党政治の根本部分に及んでいる。同党の基本は、自分の主張よりも政府・与党の揚げ足とりを重視する「敵失政治」である。参院選圧勝も「消えた年金の」せいにほかならなかった。しかし、その「敵失政治」が明らかに限界に達した。自分の家が大火事では、追及できない。加えて敵失自体が色あせてきた。消えた年金も後期高齢者医療制度問題も霞が関批判も、「秘書逮捕」以来もはや二番せんじだ。首相・麻生太郎の読み違えやバー通いも無くなった。失言は相変わらずだが、聞く方が馴れて、あきれて、いきり立たなくなった。逆に「敵」である政府・与党の得点が結構見えている。給付金も貰えば悪い気はしまい。高速道路1000円も評判が上々。重要なのは予算の早期成立、1次補正など経済危機対策が進んでいるのと、北朝鮮のミサイルだ。北のミサイル迎撃支持が80~90%に達したのは、内閣支持率にも多かれ少なかれはね返るだろう。
政府・与党にとって最大のメリットは、小沢の続投自体にある。民主党は何を主張しても「引かれ者の小唄」「盗人たけだけしい」となってしまうのだ。世論調査も、与党に厳しい朝日新聞の調査ですら、麻生内閣の支持率は22%で、前回の14%から上昇。「首相にふさわしい」かは、麻生が30%、小沢が26%と逆転。もちろん「小沢辞めるべき」は63%で、増加傾向だ。この上げ潮傾向は、麻生がよほどのポカをしない限り続くだろう。このように小沢の「続投・政権獲得両宣言」は、それ自体が矛盾の極みであることが分かる。民主党は「小沢首相」には国民の支持などあり得ないことを銘記すべきだ。もっとも解散まで時間がない。いま「小沢降ろし」がこのていたらくでは、時間切れかもしれない。
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