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2009-03-22 00:00
(連載)ロシア経済の最近の動向をさぐる(4)
河東 哲夫
Japan-World Trends代表
で、この3兆ルーブル、つまり約900億ドル分をどこから見つけてくるか? 本来なら石油収入の余剰分から積み立ててきた「安定化基金」こそ、その財源となるべきだろう。ところが、「安定化基金」のうち、かなりは昨年秋以降の救済措置で使われたり、使途を既に決められてしまったりしたものと思われる。報道された救済措置を合算すると(二重計算があると思うが)1,700億ドルにもなる。これに、本年2月クドリン財務相が言及した、銀行への400億ドルの追加措置を加えると、「安定化基金」の総額を上回るほどの規模になる。
これは荒っぽい計算であるにしても、9兆円ほどにはなると見込まれる財政赤字を賄う財源は見当たらない、ということは言えるのでないか?これは、政府予算から給料をもらう者が労働人員の3人に1人に達しているロシアでは、由々しき問題だ。プーチン首相が大統領の頃から引き上げてきた公務員賃金や年金などが予定通り引き上げられない、いやそれどころか遅配も出てくる、ということになったら、政府でも危機感を持つ者は増えるだろう。では、どうしたらいいのか? 一つは、ロシア政府が国債を大増発することだ。できれば外国で、ドルやユーロ・ベースで発行したいところだ。だが、金融危機の今、そんな国債を買う者は海外にあまりいない。
では、ロシアの中央銀行が政府国債をどんどん買い上げて、ルーブル紙幣を大増刷するしか道はない。GDPの8%分も増刷すれば、インフレは激化し、それによってルーブル・レートは更に下落して、インフレを一層激しいものとするだろう。だが、1998年8月の金融破綻では、ルーブルは4分の1にも切り下がったのに、インフレ率は80%に「しか」ならなかったらしい。今回は通貨介入に使える外貨準備がまだ2,000億ドルも残っているから、それほどのインフレにもならないかもしれないが。
まあ、そんなこんなで、「ロシア経済は底を打った。株価も上昇してきた」とするエコノミストもちらほら出てきた中で、「いや、これからまだ下がる。これからが正念場なのだ」と言う専門家も多く、僕はまだどちらとも決めかねている。(おわり)
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