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2009-03-19 00:00
安全保障を政争の具とすることなかれ
鈴木 馨祐
衆議院議員
在日米軍をめぐっての議論が政局に絡んで盛んになっている。確かに国連中心主義は、可能であればすばらしいことである。自主的な防衛力も、現実的なら正しい方向である。その一方で、わが国が位置する東アジアは、いまだに冷戦下のパワー・ポリティックスが色濃く残っていることを忘れてはならない。核弾道ミサイルの保有を狙っている北朝鮮は言うに及ばず、いまだに軍事関連の不透明性に変化がない中国も、その長距離弾道ミサイル、外洋海軍の建設が目指すものは不透明である。そのような状況下で何が我が国にとって現実的な選択かの判断を誤るわけにはいかない。
国連中心主義は、先の北朝鮮の行動をめぐる国連決議1695が中国等の反対で、制裁でなく、非難決議にとどまったこと、同じく国連決議1718についても事実上の制裁がどこまで各国において行われたのかが不透明であったことなどを考えれば、有事の際にわが国の安全を保障してくれるものとは考えにくい。そもそも集団的安全保障が、ギリギリの場合に効果が極めて限定的なことは、日英同盟を破棄したわが国が締結した4カ国条約、9カ国条約がその後の安全保障にどのような影響を与えたかを考えれば、明らかである。
また自主防衛についても、その現実性については大きな疑問を持たざるを得ない。少なくとも価値観や軍事能力、意思の観点からわが国にとって潜在的脅威と考えざるを得ない3つの近隣国が、核ミサイルを保有している、もしくは保有しようとしている、のが現状である。そのような中で外交的あるいは安全保障上わが国が自らの手で国益を守っていくためには、少なくとも核によるMAD(相互確証破壊)的な状況を作れなくてはならない上に、迎撃体制、陸海空の兵力増強なども必要であるが、今後少子高齢化が進み、財政・経済的余力が失われていく可能性が高いことを考えれば、こうした選択は非現実的である。外交、安全保障は、即座にわが国民の生命・財産に及ぼす影響が極めて大きいことを考えれば、理想を求めることは重要だが、現実的な選択もせねばならない。少なくとも現時点では、国連中心主義や自主防衛よりも、日米同盟機軸の安全保障体制が日本にとっては現実的な選択肢である。
加えて在日米軍について「第七艦隊だけいい」といった議論も、政界の一部に存在しているようであるが、これまた誤った議論といわざるを得ない。そもそも四方を海に囲まれたわが国の哨戒、抑止の意味で米軍の航空戦力は必要である。またこの地域は、国民党政権になって中台関係が改善しているとはいえ、いまだに予断を許さない台湾海峡を抱えている。ご存知のように台湾海峡をめぐる最初の争いは、中国大陸からわずかな距離にある金門・馬祖島から始まる可能性が高い。今は台湾海峡の両岸を領土に持つ台湾が実質的に台湾海峡をコントロールしているために、日本のシーレーンとしても成り立っているのである。当然のことながら金門・馬祖島が防衛ラインとならざるを得ないし、ここを守るためには有事に米海兵隊が迅速に参戦することが不可欠である。その意味でも地政学的に日本に第七艦隊以外の米軍部隊が駐留することはやむをえない選択であり、これを政局のひとつとして扱うことは非常に危ういことと断言せざるをえない。安全保障政策は政局を排し、あくまで現実主義的な判断にゆだねられるべき分野の一つなのである。
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