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2009-03-19 00:00
(連載)ロシア経済の最近の動向をさぐる(1)
河東 哲夫
Japan-World Trends代表
2月までのモスクワは「経済危機」一色だったが、2月中旬にはルーブルの下落は止まり、銀行融資は徐々に再開し、株価も上昇に転じた(それでもまだ、株価総額は上場企業手持ちの現金総額を下回るそうだ)。これをもって「ロシア経済は底を打った」と評する専門家さえ出始めた。トロイカ・ディアログというロシア最大の証券会社のチーフ・エコノミストであるガヴリレンコフ氏は、2009年のGDP成長率はプラス3%にはなるだろう、と言いはじめた。ここでは、そういった前向きと言われる要因を分析してみたい。
ロシアの対外債務は現在4,000億ドル強と推定される。外貨準備は4,000億ドルを切っている。ならば返済資金が足りないかというと、そこは微妙なところだ。なぜなら4,000億ドルを今年一気に返さなければならないわけではなく、前記ガヴリレンコフ氏の推計では「元本分1,170億ドル、利子支払いを含めて1,400億ドル分くらいが本年の返済分で、700億ドル以上の純資本流出はないだろう」ということなのだ。
ただ、現在の外貨準備のうち、約半分の2,000億ドルは、石油収入のうちの過剰分を税として吸い上げ、将来石油価格が暴落して財政赤字が生じかねない場合のバファーとして保全している「安定化基金」(ハイリスク・ハイリターンの投資を許される国民福祉基金と着実な運用を求められている準備基金の2つに分かれている)の分だと思う。ルーブルで積み上げた分が、毎年末になると外貨に転換されて、財務省から中央銀行の所管に移るものだ。
すると今年は、返済分だけで、安定化基金以外の分、つまりルーブル・レート安定用に本来使われる外貨準備の殆どを使ってしまう計算になる。「大変だ!」と言う前に考えてみると、石油を輸出して得る外貨が毎日流入してきていることを忘れてはならない。これには、この2~3年、年間30~40%のペースで伸びてきた輸入が急減していることも背景にある。ルーブルが40%も下落したことで輸入品価格も急上昇したから、輸入が止まったのだ。1月の消費は増加しているが、これはそれ以前輸入しておいたものの在庫を、インフレを見越した市民が買いあさっているだけだ。
報道によれば、1月初旬1週間で外貨準備は4,260から4,265億ドルに増えている。つまり、当時の油価でも外貨準備は毎週5億ドルづつ増え得るということだ。年間で250億ドル、現在油価が回復してきたから年間で750億ドルは、外貨準備が増えるかもしれない。つまり、外貨準備は多分大丈夫だということになる。(つづく)
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