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2009-03-11 00:00
小沢発言は「辞任示唆」だろう
杉浦正章
政治評論家
3月10日夕刊から11日朝刊にかけての「小沢報道」は、新聞各紙の編集局内での慌てぶりが目に見えるようである。「小沢氏続投に意欲」と夕刊で打って、午後の記者会見や取材では「そうでもないらしい」という雰囲気が出て来たからだ。整理部と政治部が「整合性をどうする」と鳩首協議したのが、手に取るように分かる。結局、朝刊では180度転換して、「辞任」に傾斜した見出しを取った社が多かった。夕刊段階では民主党にはめられたのだ。政局観を持たないから、そうなる。「流れは辞任」と読んでいれば、夕刊の見出しももう少しましなものになったのだろう。代表・小沢一郎の会見から見る限り、小沢は辞任の腹を既に固めているとみる方が自然だ。
10日の民主党常任幹事会は、小沢が進退に言及するかどうかが焦点で、固唾をのんで見守られていた。夕刊ぎりぎりの時間帯で取材は難しい側面もあったに違いない。しかし突っ込みのある取材をしていたら、ちぐはぐな紙面を避けられただろう。一番目立つのが朝日新聞。夕刊では「小沢氏、謝罪し続投に意欲、党幹部も沈静化図る」と見出しを取り、文中で「幹部らは拍手で応じ、小沢氏のもとで結束して行動することを確認した」とまるで、民主党が小沢続投礼賛で一致したようなトーンであった。ところが朝刊では「進退、選挙の勝算次第」と見出しを辞任に傾斜させ、文中で「当面、代表職は続け、捜査の進展と、次の総選挙で民主党が勝てるかどうかを見極めたうえで、進退を最終判断する考えを示した」と説明した。
小沢の記者会見を詳細に分析すると、「政治家としての大目標は、官僚主導の行政を改めることにあり、行政を改めるためには、総選挙で勝利を得なければならない。行動の基準は、物差しをそこにおいて判断する」と述べていることに尽きる。突っ張っていた小沢が、その態度をぐらりと変化させたのである。明らかに辞任示唆だ。記者会見を聞いた反応で一番すっきりした見出しを取ったのが共同通信だ。「小沢氏、衆院選影響なら代表辞任『政権交代のため行動』」という見出しで、ストレートに表現している。文中でも「次期衆院選に悪影響を及ぼすと判断した場合は、代表を辞任する可能性を示唆した」と分かりやすい。夕刊段階でのミスリードがなかったら、新聞各紙ともこのトーンで行けたのであろう。各紙報道によると、常任幹事会で小沢が「しばらくの間続けさせてほしい」と述べたともいう。これはまさに「辞任」の気持ちがあることを物語る一言だ。
毎日は「出席者の数人は『言葉には出さなかったが、いずれは辞任するという意味か』と、小沢氏の変化を敏感にかぎ取った」と形容している。さらに幹事長・鳩山由紀夫が、わざわざ「『しばらくの間』とは『ずっと』という意味だ。変な意味に取らないでほしい」と述べ、小沢の発言に厳重なかん口令を敷いたという。このかん口令をしいたという経緯からみれば、民主党は幹事会で各紙夕刊見出しのような“演出”を画策したことになる。新聞はまんまと一杯食わされたのだ。産経が「選挙に影響なら辞任『暗黙の了解』」という見出しを取り、「小沢氏が示唆したように衆院選に影響が及ぶ場合には、小沢氏自らが進退を決する、という党内の『暗黙の了解』が透けてみえる」と説明しているが、この辺りに帰着するのであろう。検察のリークの流れから見て小沢が続投すれば衆院選挙のネックになることは避けられまい。選挙を考慮して、続投するわけはないのだ。したがって小沢が辞任して、党再生を図るという流れも一層強まってゆくだろう。
【お知らせ】編集部のご要望により、今後拙稿は「百家争鳴」→「百花斉放」→「議論百出」の順で投稿させていただきます。ご笑覧ください。一連の過去の投稿については、下記のデータベースで検索・閲覧できます。http://suginoko.progoo.com/bbs/
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