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2009-03-06 00:00
(連載)東アジア共同体構築:注目される最近の動き(1)
石垣泰司
東海大学法科大学院非常勤教授
東アジア地域協力について、最近幾つかの注目すべき動きが見られるようになった。その第一は、本来前年12月にタイで開催されるべきはずであったが、タイの政治混乱から延期されてきた第14回ASEAN首脳会議が、2月28~3月1日にタイのチャアム・ホアヒンで開催されたことである。ASEAN憲章発効後初めて開催されたこのサミットでは、2015年ASEAN共同体創立の目標が確認され、そのためのロードマップ(2009-2015)も明らかにされた。「チャアム・ホアヒン宣言」の採択がそれであるが、同時にASEAN人権機構の年内設立も合意された。
今回の首脳会議については、ミャンマー問題等についてASEANとして強い措置をとれなかったなどの批判の声も聞かれるが、ASEANがそもそも内政不干渉の大原則を維持している以上、同国の人権問題に深入りすることは、そもそも期待するほうが無理であった。「チャアム・ホアヒン宣言」には、「政治・安全保障」、「経済」、「社会・文化」の3分野からなるASEAN共同体設立のための詳細な具体的行動計画(「ブルー・プリント」)を示す3文書等が添附され、ASEANとして共同体完成への取り組みに変わらぬ熱意を強調している。
また、ASEANは、ASEAN憲章により独自の法人格を付与されてから、とみに地域協力機構としての独立性を高めており、東アジア・サミット参加の日中韓、豪州、NZ、インドのみならず、米、ロシア、EU諸国からも専任大使が任命されているほか、4月のロンドン金融サミットにはG20メンバーであるインドネシアに加え、ASEAN議長国のタイおよびASEAN事務局長も出席することとなった。
注目される第二の動きは、2月22日にタイのプーケットで開催されたASEAN+3の財務大臣会議である。現下の金融危機への東アジア地域諸国の連帯に基づく対応として、通貨暴落時等の緊急外貨融資制度であるチェンマイ・イニシャティブ(CMI)をさらに大きく前に進める一連の諸措置が合意された。とくに注目すべきことは、これまで2国間が中心であったスワップ取極めの中味を大幅にマルチ化させたことである。マルチ融資(CMIM)の規模も800 億ドルから 1200 億ドルに増額され(ASEAN諸国と日中韓3か国の拠出割合20 対80 は維持)、さらに域内の経済情勢監視(モニタリング)のための独立した常設機関(サーベイランス・ユニット)の設立を急ぐことも合意された。これらは、現下および今後の金融危機への域内諸国の対応能力をさらに強化するものである。同会議に日本からは財務相が出席できず、政務官が代表をつとめたのは、国内政治上やむをえなかったとはいえ、実に残念なことであった。(つづく)
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