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2009-02-24 00:00
常任副議長だより(4):「第211回国際政経懇話会」について
村上 正泰
東アジア共同体評議会常任副議長
今回の「常任副議長だより(4)」では、さる2月18日(水)に開催された第211回国際政経懇話会のもようについて、所感を述べます。国際政経懇話会とは、東アジア共同体評議会が、その姉妹団体である日本国際フォーラム、グローバル・フォーラムとともに、毎月1回定例的に、時局を中心とした外交・国際問題について開催している勉強会です。当該問題の専門家あるいは権威者を講師に迎えて、3団体の議員、会員、メンバーがインフォーマルかつコンフィデンシャルな懇談を行っています。今回は当評議会副議長も兼ねる伊藤元重東京大学教授を講師にお招きし、「今後の世界経済の展望」についてお話を伺い、その後出席者との間で懇談を行いました。
伊藤元重教授はわが国を代表する国際経済学者ですが、冒頭に司会役の伊藤憲一当評議会議長から「私のもっとも信頼するエコノミスト」との紹介があったように、その本質を突いた「分析」と広い視野からの「総合」には定評があります。今回の会合でのお話もその期待どおりでした。とくに、私にとって印象的だったのは、今回の経済危機の原因として複雑化した証券化商品をめぐる問題の分析に終始する議論が多い中で、「金融問題だけが原因なのではなく、その背後には実体経済の構造変化がある」として、(1)先進国における少子高齢化と(2)それに伴う世界的なカネ余り(=需要不足)および(3)IT技術の金融業・流通業への波及の3点を指摘されたことでした。
わが国の昨年10-12月期の実質ベースのGDP速報値は、年率換算で対前期比12.7%減という第一次石油ショック以来35年ぶりの大幅なマイナスを記録しました。これを受けて、更なる景気対策を求める議論が盛んになっていますが、一時しのぎの対策だけでは意味がありません。この点に関して、伊藤教授は、「日本には老後の不安のために100~150兆円のお金が余分に貯めこまれている。それを活用して、どのような国内需要を創っていくかを考える必要がある。市場任せでは新しい需要は出てこない。新しいリーディング・インダストリーをどう育ててゆくかを考える必要がある」と、ずばりと核心に切り込まれ、その可能性のある分野として、医療、介護、育児、環境、食糧などの分野をあげておられました。まさに目を見開かされる思いでした。
当日のより詳細な「メモ」は、近く日本国際フォーラムのホームページ(http://www.jfir.or.jp)に掲載されますので、ご関心のある方はそちらをご覧ください。
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