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2009-02-19 00:00
海上自衛隊のソマリア派遣にあたり配慮すべきこと
佐藤 考一
桜美林大学教授
3月上旬の海上自衛隊のソマリア派遣がほぼ決まった。自衛隊の活用を唱えてきた者の1人としては、これを肯定的に受け止めたいところだが、心配な点も多い。その1つは、自衛隊派遣が、自衛隊法第93条の海上警備行動によって行なわれるからである。この法律の規定は、警察官職務執行法を準用するもので、武器使用は威嚇射撃や正当防衛以外はほとんど認められていない。犯罪者を相手にする前提なので、射撃が認められる際も、まず、スクリューやマストを撃ち、海賊などの犯罪者を直接撃つことが認められるのは最後である。
ソマリアの海賊は、普通の犯罪者ではない。同国周辺の船舶護衛に従事している東南アジアの民間軍事会社の関係者は、数年前に筆者がヒアリングした際、ソマリアの海賊は重装備で、使用しているロケットランチャーは、北朝鮮の工作船が使ったPRG-7のような射程が300メートル程度の旧式のものではなく、1000メートル近い射程のもののため、対策として狙撃兵用の長射程のライフルを自社の「警備員」には携行させていると証言している。ソマリアは、破綻国家化しており、国軍の武器が兵隊と共に流出している可能性があるため、海賊の危険度も非常に高い。
さらに、一般的に言って警備に当たる側は、相手船舶をその船舶の発する船舶自動識別装置(AIS)の電波で識別するものであるが、日本国内と違い外国船についてはAISはまだ完全に普及していないし、300トンを下回る船舶はその適用外である。小型の自爆テロ用のボートや、AISのついていない船は識別できない。その場合、武器が自由に使えないとなると、相手船舶を追い払うには、不快な音を発する長距離音響発生装置(LRAD)ぐらいしかないが、海賊が耳栓をするようになったらどうするのか。あまり楽観はできない。
最後に、海上自衛隊は、日本関係船舶(日本船籍及び外国船籍で日本の船会社の持ち船)しか守れないというのは、国際協調の観点から問題である。中国海軍はギリシャの民間船舶を海賊の攻撃から守ったというではないか。我が国の自衛隊も協力すべきであろう。共同で国際貢献が出来れば、士気も上がるし、信頼醸成も進む。与野党は、中川財務相の辞任問題で国会を空転させる暇があったら、時限立法でかまわないから、緊急避難等を柔軟に運用できるよう、法整備を急いで、護衛艦の乗組員が危険を回避できるよう、また国際貢献が実現できるよう、方策を考えて欲しい。
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