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2009-02-17 00:00
イスラエルの選挙結果はオバマ大統領の期待はずれ?
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
選挙戦の最中は向かうところ敵なし、世界中あげて応援団の観さえあったオバマ大統領だが、政権を担当してからはかなりの逆風に悩まされている。最近のイスラエルの選挙結果も、和平実現を志向する大統領にとってはかなり頭の痛いものだ。和平実現に向けてのシナリオとしては、アッバス率いるファタハが次のパレスチナ選挙で多数派を占め、タカ派の現実主義的政党カディマとの間に「一つのイスラエル、一つのパレスチナ」の路線で話し合いが成立することだった。カディマにとっては、さらに強硬派であるナタニエフのリクードが侮れない支持層を持っているだけに、右派の支持増加を期待してガザ侵攻に踏み切った、という見方さえあった程である。
それだけに今回の選挙結果でカディマ中心の政権が持続するかどうか、おそらくオバマ大統領は注目していたに違いない。イスラエルの選挙は「ほぼ完全に」といってよいくらいの比例代表制だ。だから、多数政党が並立するこの国では、一党が国会にあたるクネセット120議席の過半数を占めるということはまず考えられない。だから関心の対象は、カディマがリクードとの間にどの程度の水をあけて第一党になるか、カディマを中心とした現政権体制が維持できるかどうか、だったといってよい。
選挙結果は周知のように、極右を含む右派が過半数を占めた。カディマ(28議席)は辛うじて1議席差でリクード(27議席)をしのぎ、第一党の地位を占めたものの、労働党の凋落(13議席)と「ハマスは武力粉砕しかない。二国家併存はナンセンス」と公言してはばからないリーバーマン率いる「我が家イスラエル」の第三党進出(15議席)により、(西欧諸国ないしオバマ大統領が)期待したような結果にはならなかった。
なにしろカディマとリクードが大連立を組んでも過半数に達しない、というのだから始末が悪い。その上カディマの指導者リビニとナタニエフは犬猿の仲というか、個人的に全く肌があわない、という要素もあって、大連立の可能性はかなり薄い。和平はタカ派政権の下でなければ成立しない、といっているうちに、タカから現実主義に一歩踏み込んだカディマが、なんと中道左派だというから、事態の変転は予断を許さない。ナタニエフは過激な言動と裏腹に、極めて有能な官僚の一面も持つ。彼の現実感覚はおそらく二国家併存を前提とした和平実現に舵を取るだろう、と筆者はみているが、これこそ神のみぞ知る。イスラエルの組閣は、この数週間で確定する。オバマ大統領にとって気のもめる数週間になりそうだ。
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