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2009-02-16 00:00
「テポドン3号?」発射を仕組む北朝鮮の狙いは何か
大江 志伸
江戸川大学教授・読売新聞論説委員会特約嘱託
前回1月26日付けの本欄「金正日総書記『健康不安説』の背後にあったもの」で筆者は、「今回の健康不安説は、またもこう着状態に陥った核問題の6か国協議やオバマ政権発足と密接に連動している可能性が高い。金正日総書記は、自身が仕掛けた健康不安説に対する外部の反応から何を読み取り、どんな手を打とうとしているのか。そこに目を凝らす必要がある」と指摘した。その金正日総書記の「次の一手」が早くも見えてきた。2月初旬に表面化した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」発射準備の動きである。北朝鮮が実際に長距離弾道ミサイル発射へと踏み切れば、1998年8月の「テポドン1号」、2006年7月のミサイル6発と同時発射した「同2号」に続き、3回目となる。
一部が日本を飛び越えて太平洋上に落下した「1号」について北朝鮮は、人工衛星「光明星1号」の打ち上げに成功した、と発表した。だが、軌道周回する衛星を確認した国はない。打ち上げは失敗だった。推定射程約6000キロとアラスカやハワイ周辺まで到達する「2号」も、発射直後に空中分解する惨めな失敗に終わった。このため筆者は、北朝鮮が次の発射実験を行うとすれば、改良を加えたテポドン2号で人工衛星(光明星2号)を打ち上げる方式を採る、と見てきた。実験に成功すれば、核弾頭搭載可能の弾道ミサイル開発能力を立証することになるからだ。そうした見方を裏付ける情報が平壌から流れた。
朝鮮中央通信は2月16日、「わが国で何が打ち上がるかいずれ分かる」と発射の可能性を示唆したうえ、日米韓などの懸念表明に対し「宇宙開発は自主的権利だ」「平和的な科学研究活動までミサイルの名を借りて妨害しようという険悪な策動だ」と、強く非難した。「平和利用」を隠れ蓑にしたミサイル発射は、例年4月上旬開催の最高人民会議や金日成生誕節(4月15日)を照準に進んでいる可能性が高い。弾道ミサイル試射の動きからは、北朝鮮の内外両面の狙いが読み取れる。外交面の主眼は、発足間もないオバマ政権への揺さぶりだろう。試射準備に初めて公式反応した16日の朝鮮中央通信は、クリントン国務長官のアジア歴訪の最初の訪問国、日本到着に合わせて論評を発表した。
核問題に加え、ミサイル問題を手札に加えることで、今後の対米交渉を有利に進めようとの意図が透けて見える。内政面では、「人工衛星」打ち上げによって、影響力増大が伝えられる軍部の強硬路線に応えながら、金正日体制の威信強化を狙っているのではないか。「1号」発射の際、国連は安保理議長による非難声明を出した。「2号」の際は安保理決議採択で制裁につなげた。北朝鮮が試射に踏み切るかは五分五分の状況だが、国際社会は際限のない瀬戸際外交を封じる協調体制作りに改めて取り組む必要がある。クリントン国務長官のアジア歴訪をその一歩とすべきだ。
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