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2009-01-26 00:00
国際機関における日本の分担金と投票権のゆがみ
鈴木 馨祐
衆議院議員
IMF(国際通貨基金)という国際機関がある。1997年のアジア金融危機の時などにも注目を浴びたのでご記憶の方も多いかと思うが、国際金融政策、あるいは途上国への開発援助においては非常に大きな力を有している。かつ、経済や開発関連の議題では、国際連合よりもIMFや世界銀行などのいわゆるブレトンウッズ体制の国際金融機関のほうが、援助供与国側の支持を集めやすい。この背景には、簡単に言ってしまえば、その投票システムがあるように思われる。
一国一票、どんな大国も小国も同じ投票権しか有していないのが国連である。言わずとしれた例外は、安全保障理事会における米英仏中ロの五カ国が持つ拒否権だが、それがなければ国連はとうの昔に大国間の分裂で機能しなくなってしまっていた可能性がある。そのことを考えれば、功罪の中の「功」の部分も認めねばなるまいが、同時にその他の国連組織があまり機能していないのもまた現実である。IMFは投票権が出資割当額(クオータ)にほぼ対応する形で決定されている。上位5カ国のシェアは、アメリカ(16.73)、日本(6.00)、ドイツ(5.87)、英・仏(各4.84)という具合である。実は国連への分担金も、IMFのクオータ同様、その国が世界経済の中にしめる割合をベースとして決定するものとされている。しかし、国連の分担金は、米国(22.0)、日本(16.6)、ドイツ(8.6)、イギリス(6.6)、フランス(6.3)と、IMFの分担金と同じではない。
同じように世界経済に占めるシェアで分担金が決定されているにもかかわらず、国連の投票権は一国一票であり、いくら分担金を出しても投票権には関係がない。日本は、国連では分担金を多く出さされ、IMFではクオータを低く抑えられている、といった構図が浮き彫りになっている。為替レートにより世界経済に占める日本のシェアは変わるが、少なくとも115円/ドルというレートで計算してすら、日本のGDPはドイツの1.3倍、フランスの約1.7倍のはずである。日本のみならず、他のアジア諸国にとっても、欧米中心に運営されているIMF等における発言力を、クオータの見直しを通じて増すことは、非常に重要なポイントである。
実は、政府当局の努力もあり、昨年4月のIMF総会において、この投票権の割合についての見直し案が承認された。日本も、インド、ブラジル、スペインに次いで4番目に大きな投票権シェアの増加(6.00→6.23)が見込まれている。中国、韓国、タイ、マレーシアといった国の増資も同時に認められた。今各国において国内手続きが行われており、日本においてもこれから国会の場で審議がなされる見込みである。これまでも何回か国会の場でも議論させていただいたが、各国の思惑がぶつかり合う国際政治の舞台での交渉であり、様々な困難は予想されるが、政府には今後ともこのようなIMFと国連それぞれへの拠出にみられる「ゆがみ」をなくすような方向への是正努力を期待したいし、私も政治家としてそのような取り組みを支援していきたいと考えている。
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