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2009-01-17 00:00
(連載)そう簡単に崩れない英米の絆(2)
辻 正寛
会社役員
ただし、ミーチャー発言と今回のミリバンド発言は、主張の方向性は似通っているが、その政治的意味という点では大きな違いがあることも事実である。前者が、大臣辞職の上での痛烈な政権批判の性格を持ったのに対し、後者は、オバマ新政権が、ブッシュ政権とは一線を画し、対テロ政策でも大幅な方向転換がなされることを踏まえ、その方向での協調性をアピールする意味を持つ。その意味では、英国にとってみれば、政策の内実は異なれども、対米協調という基本路線が安定裡に継続されているということになる。ミリバンド発言は、したがって巧妙な政治的レトリックとして解釈するほうが、ことの本質を捉えているようにも思われる。
ミリバンドの発言は、観念的平和主義からくる幼稚なブッシュ批判ではなく、むしろブッシュ政権の歴史的使命を見届けた上で、あらたな対テロ政策への方向転換を円滑におこなうためになされたと見るべきであろう。かつてキッシンジャーは、米国にとって英国は「名誉ある相談相手(honorary consultants)」であると語ったが、「相談相手」と認める以上は、米国とて(最終的には自らの国益に沿った政策を採用するとしても)、英国の意向をまったく無視するわけにはいかない。そのような英米関係は、決して一蓮托生というわけではないが、その時々の時局の推移によって簡単に関係が冷え込んだり、亀裂が走ったりするような関係ではない、ということは言える。
むろん英国とて、ヨーロッパの大陸諸国との関係とのバランスを考慮する上で、ときに米国と適度な距離感を保つことはあるけれど、長期的に見れば両国が、大西洋を挟んでいい意味での「腐れ縁」で繋がれているということは否定できない。若い大国である米国と老獪な大国である英国のベスト・コンビネーションの関係は一朝一夕にして成立したものではない。それにしても、日本もどこかの国とそのような関係を築きたいものである。少なくとも歴史の長さでは英国にひけをとらないのだ。ただ、老獪さだけは足元にもおよばないだろうが・・・。(おわり)
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