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2008-12-11 00:00
(連載)尖閣列島問題と日中台関係(2)
佐藤 考一
桜美林大学教授
もう1人、尖閣列島問題で忘れてはならない人がいる。台湾の李登輝元総統である。親日家の李登輝氏は、「尖閣列島は日本の領土だ」という持論の持ち主であるが、同時に1996年12月に台北を訪問した稲嶺恵一沖縄経営者協会会長に、(実現はしなかったが)10億ドル相当の投資を持ちかけ、将来の台湾・沖縄の自由貿易地域構想も仄めかしたことがあるという。1996年といえば、中国人民解放軍が3月に台湾海峡でミサイル演習を行い、アメリカ海軍が2隻の空母を回航して牽制した年である。李登輝氏は、中台の緊張関係が次にエスカレートした場合に備え、米軍の駐屯する沖縄との関係を強化することで、日米両国の台湾への後ろ盾を強化するつもりだったのだ。恐るべき深謀遠慮の人である。
以上のエピソードから明らかなことは、中国も台湾も、尖閣列島問題については、それぞれに事情があり、決して一枚岩ではない、ということである。尖閣列島周辺海域には、常時海上保安庁の巡視船が展開しているし、自衛隊の対潜哨戒機もパトロールしている。警備は十分で、領土の保全はなされているのだから、日本政府は過激派の挑発に乗らず、東アジア協力の枠内で、日中・日台関係を平和裏に発展させようとする人々とつきあえばよい。
最後に一言。海上保安庁は、尖閣列島周辺海域だけでなく、国内13箇所の海岸沿いの原子力発電所を24時間海上から警備している、ということを我々国民は忘れてはいけない。3万5千キロという日本の広大な海岸線を、僅か6千名の海守(うみもり)が日夜を徹して守っているのだ。不審船対策も、ASEAN地域フォーラム(ARF)での海賊問題の協議もすべて、「海保」にという期待は大きいが、マンパワーも船も足りない。危険できつい任務に従事する海上保安官には十分な休息も与えられてしかるべきである。「不眠不休」という言葉は、響きは良いが、事故につながる。麻生内閣には、海上保安庁の予算増加をお願いしたい。(おわり)
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