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2008-12-04 00:00
(連載)メドベージェフ政権と日露関係(2)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
メドベージェフは最近米国におけるG20の首脳会談の場で、ロシアは大統領制の国家であるとして、大統領の権力が最上位にあることをとくに強調したし、11月5日の年次教書では、議会の政府に対するチェック機能を強調して、政府・官僚に対する大統領・議会の統制の重要性を前面に出した。これを、大統領府と政府・外務省の微妙な立場の違いと見るか、意図的な分業作戦と見るかについて、見解は分かれる。
プーチン前大統領が1956年日ソ共同宣言をベースにしたものではあるが、領土問題の解決に意欲を示したのは事実だ。ただ、首脳の言葉と現実のロシア政府の政策は一致しなかった。というより、実際にはプーチン時代のロシアの平和条約問題に対する姿勢は、以前より強硬になった。
米国に張り合いながら大国主義を強化している現在のロシアの状況を考えると、客観的な情勢から判断する限り、現在「機会の窓」が開いている状況とはとても言えない。ただ、この問題を風化させないための努力は、またこの問題の解決が日露間の関係正常化のための最重要課題であるということを明確にする努力は、首脳間や政府間でも民間交流においても、いっそう強める必要がある。外交的な言辞に安易に幻想を抱いたり、翻弄されるべきではないが、今後のメドベージェフ大統領の行動や影響力の行方を注意深くフォローする必要がある。
大統領が「既存の文書」と述べた時、日ソ共同宣言を念頭に置いて、東京宣言は含まれていない可能性を指摘している報道もある。もし、そうであるとすれば、それは産経新聞が指摘しているように、まさに過去の日本側の間違った発信のダメージが尾を引いているということである。「既存の文書」というときに両国首脳や政府が公式的に何度も合意し、文書化している東京宣言が含まれないということは、どのような理由からしても、あり得ないことだ。日本政府は、この点をはっきりと主張してゆくべきである。(おわり)
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