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2008-12-03 00:00
(連載)メドベージェフ政権と日露関係(1)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
11月24日のわが国の各紙は、22日のリマにおけるAPEC首脳会談の場での日露首脳会談を受けて、日露関係についていくつかの重要な報道をした。第1は産経新聞の報道である。佐々木記者は、日露首脳会談での北方領土問題に関しての議論は、「双方の対立を極力回避することに腐心した儀礼的な色彩の濃いものとなった」と醒めた報道をしているが、それに続いた解説に私は注目した。記者は次のように述べているからだ。
「政府内にはかつて日本側が発信した2島先行返還論による『ダメージがいまだに尾を引いている』(外務省筋)との声もあり、これがロシア側に問題解決を長引かせる材料を与え、局面打開の妨げになっているようだ。北方領土をめぐり、日本側ではかつて歯舞、色丹の2島先行論が浮上したことがあるが、『国後、択捉、歯舞、色丹の4島の帰属を明確にして平和条約を締結する』ことを明記した1993年の東京宣言を交渉の基本とする立場だ。これに対し、ロシア側は歯舞、色丹の2島返還を明記した1956年の日ソ共同宣言を交渉の基本とし、2島先行論を逆手にとって攻勢をかけ続けている」と。
この問題の指摘はまさに正論であり、産経新聞の立場が一貫していることを示している。このほかに各紙や日本外務省の広報ペーパーでは、麻生首相が会談の冒頭で北方領土問題に言及し、「7月の(福田首相との)会談で大統領が示した解決への決意が、その後の事務レベル(注、外務省レベル)の交渉に反映していない。官僚のメンタリティを打破しなければならない」と率直に指摘したとしている。このとき、メドベージェフ大統領は同席したラブロフ外相の方を見て、「あなた方のことではないか」と引き取り、大爆笑になったという。
麻生首相の発言に対して、メドベージェフ大統領は「この問題の解決を次世代に委ねることは考えていない、どこの国でも官僚の抵抗は存在するものであるが、より重要なのは首脳の立場であり、首脳の善意と政治的意思があれば解決できる。並々ならぬ考えが必要であるが、そのような考えは既存の文書から引き出さなければならない」と述べた(外務省)とされる。(つづく)
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