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2008-11-13 00:00
(連載)第一次世界大戦終結90周年慰霊式典(1)
佐藤 守
元航空自衛官
田母神前空幕長が出席した参院安保防衛委員会の中継がなかったのには失望した。与野党間で田母神氏の言論を制限するため「取引」があったというが、両者共によほど「公表されては困る」ことがあったのかもしれない。インターネットで見ることにしたのだが、「メンテナンス中」で視聴不能。何と無く「言論弾圧もここまで進んだか!」と気味が悪くなったが、500通以上アクセスすると「自動的?に見れなくなる」のだという。日本の総人口がいかほどか知った上での「設定」なのだろうか?それとも「国会中継なんぞ国民は見ない」と決め付けて設定したのだろうか?
夕方になって一部のTVが細切れにニュース報道したが全容は分からない。個人的に「見学」した方から「見事な対応振り!しかし肝心の問題点はしゃべらないように、うまく封鎖されていて、田母神氏も不満そうだった」と報告が来たが、詳細は議事録を見てからにしようと思っている。そんなことで昨日(11日)はTVの各チャンネルを操作して、これを見ようとしていたのだが、BBCの「表記式典」にかかわるLIVEを最後まで見てしまった。第一次大戦でヴェルダン(有名な要塞があった)は激戦地となり、9つの町や村は消滅してしまった。このドイツ国境に近い場所に慰霊のための廟が立っている。はじめは住民達有志による慰霊だったのだが、国がこれを管理して、いまは毎年荘厳な慰霊式典をしている。
90周年を迎えた11日、この地にサルコジ仏大統領夫妻、チャールズ英皇太子ご夫妻、それにEU代表が打ち揃って、寒風吹く中で荘厳な慰霊式典が行われた。その実況中継だったのだが、ドイツのメルケル首相は多忙で欠席したものの、欧州議会のペテリング議長(独)、ドイツ連邦参院議員のミュラー議長が出席した。まさに「恩讐のかなたに」である。サルコジ大統領は男女2人の生徒と共に、戦没者の十字架に花輪を捧げ、サルコジ夫人はそっと涙を拭いていた。イギリスでも同時刻に慰霊式典が行われ、こちらには生き残りの勇士3人が出席して花束を捧げた。
108歳、110歳、112歳という、第一次、第二次大戦を生き抜いた、強運の持ち主たちであったが、現代の勇士(イラク・アフガンに参戦した兵士)に車椅子を押してもらって、献花した。最後に112歳のヘンリー・アリンガム氏が前に出たとき、車椅子から立ち上がって自ら献花しようとしたらしく、兵士がしゃがんで気遣っていたが、勿論立てるはずは無く、車椅子から降りようとしたのか、両足を突っ張っただけだったが、彼は花輪に顔をうずめて泣き、しばし献花が遅れたので、式典は2分ほど遅れた。
しかし、介添えの兵士は彼の行動をじっと支え、神父も参列者も彼をじっと見守っていた。彼の思いは万感胸に迫ったことであったろう。老い先を考えた彼は、何とかして先に逝った戦友に自ら花輪を捧げたかったに違いない。思わず涙が出たのだが、そんな彼から「式典スケジュール上」強制的?に花輪を取り上げて、彼に代わって祭壇に捧げることをしなかった、兵士や関係者、参列者には頭が下がった。(つづく)
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