ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2008-11-08 00:00
今次の世界的金融危機は、アジア地域統合推進の好機
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
10月21日付けの本欄に対する投稿第722号で、村上正泰副議長が「第6回東アジア・フォーラム(EAF)」での議論について報告されている。その中で、今回の米国発のグローバル金融危機について、これは「危機」であるが、同時に「機会」でもあるとの議論がなされたこと、EAFの発案者である韓国から「常設事務局の設置を含め、EAF強化策について検討したい」との強い意欲が示されたしたことの報告があった。誠に歓迎すべきことである。昨年11月、東京で開催された第5回EAFに参加したが、これまでのEAFの活動は、率直に言ってかなり低調であった。発案者である韓国が、本腰を入れてEAFをテコ入れするのであれば、誠に結構なことであり、期待したいものである。
1997年のアジア通貨危機は、アジア地域統合の機運が盛り上がる原点となったが、世界的にはより大きなものとなると見込まれる今次危機によって、欧州、アジア、中南米、中東など世界各地の地域統合の動きは、間違いなく加速されることになるであろう。すなわち、このようにして世界の多極化(multi-polarisation)がますます進展していくことになるであろう。2005年の第1回東アジア・サミット(EAS)以来、「ASEAN+3」の13カ国とEASの16カ国の枠組みが共存してきたため、地域統合のエネルギーが分散され、アジア統合の動きはこのところ低調であったが、今次危機をきっかけに再び統合のモーメンタムが強まることを期待したい。
さる10月30日に韓国の全南国立大学(於光州)で、大阪市立大学と中国の吉林大学も参加して日中韓の3大学による国際会議「グローバライゼイションの下における地域問題」が開催され、それに出席したが、そこでも多くの出席者から「危機は機会でもある」という趣旨の発言が相次いだ。今次危機は、短期的にはアジア諸国に対して大きな悪影響を与えることが懸念されるが、長期的にはアジア地域統合進展のエネルギーに転換されるであろう。アジアにおける危機予防の枠組みが、この機会にいっそう充実されることを期待する。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会