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2008-10-30 00:00
外交に打ち出の小槌はない
中山 太郎
団体非常勤研究員
拉致問題で思い起こされるのは、横田めぐみさんの母上と弟さんが米大統領と会見したときのテレビ報道を一緒に見ていたカナダ人の言った言葉である。彼は「あの若い男は、日本海軍に入り、姉を取り戻すため何かをやる意志はあるのだろうか?一人で対馬海峡を渡り、なんとしても救いに行く気構えはあるのだろうか?」と述べていました。最近、アフガニスタンで日本のNPOの方が、尊い命を犠牲にされました。しかし、日本の4分の1の人口のカナダは、アフガニスタンで既に85人以上の犠牲者を出しているのです。
何年か前に拉致被害者の曽根さんの米国人の夫とお嬢さんたちが、インドネシアの首都ジャカルタで引き渡されたときに、テレビを見ていた多くの日本人が、外務省に電話をかけて、「ホテルを使うとはけしからん、国民の血税の無駄使いだ」と叱った、と聞いています。私は、セキュリテーの面から、常識的に見て、ホテルを使わざるを得なかったと思いますが、過剰報道をするメディア、詐欺的なジャーナリズム、それに悪乗りする評論家と称する方々には、そのような常識は通じなかったようです。かつて「米国何するものぞ」「一撃を加えれば、すぐヘナヘナになる」と戦争をあおった、戦前のメディア、ジャーナリズム、評論家と少しも変わっていません。
かれらには、「では、あなた方が最前線に立って、やってみなさい」と言いたいです。米議会で「従軍慰安婦非難決議」案が採択されそうになり、加藤良三前駐米大使などが議会対策その他に走り回っていたとき、日本の元気の良い議員、評論家、学者の方々が、NYタイムズの1面を借り切って、「日本は悪くない」という意見広告を載せました。結果はどうだったでしょうか。これで議会の空気は一挙に非難決議案賛成に傾いたと聞いています。親しい米国人からは「ああいう意見広告は、会社などが不祥事を起こした際に、弁明のために掲載するものだ」と言われました。外交は地道な仕事の積み重ねです。わが国には、知識人を含めて、外交には打ち出の小槌があるように誤解している人たちがおられます。「北朝鮮は、再調査を約束しながら、なんの誠意も見せない」と憤慨しているひとがいますが、こうした言い方は、それ自体が相手をまともな国として認めていることになることに、お気づきになられないのでしょうか。
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