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2008-10-27 00:00
これは、日本外交の敗北だ!
花岡 信昭
ジャーナリスト
アメリカがついに北朝鮮のテロ支援国家指定を解除した。8月11日の発効期限からちょうど2カ月遅らせたが、これがアメリカの「アリバイづくり」ということだろう。指定解除はブッシュ政権の置き土産として、すでに決まっていたとみるべきだ。日本にとっては、外交の敗北以外のなにものでもない。アメリカは「拉致」への配慮を口にしてはいたが、やはり、「核・ミサイル」のほうが重要だった。これは別にいぶかしいことではない。およそ、あらゆる国家は「国益」を踏まえて行動する。アメリカにとっては、イラクやアフガン、イランなど中東対応が優先されるのであって、いま、朝鮮半島にかかわっているゆとりはない。
北朝鮮の金正日総書記は核施設の再稼動や核実験再開などのそぶりを見せて、アメリカを揺さぶった。もともと日本など眼中になく、アメリカだけを相手にする、というのが金正日戦略だ。世界最強のアメリカを相手にここまでの譲歩を引き出したのだから、北朝鮮外交の勝利ということになる。金正日総書記の病気の程度がどのくらいのものか分からないが、もし酒を飲める状態にあるのなら、さぞかし美酒に酔いしれているのであろう。北朝鮮の「暴発」をふせぐという点では、東アジアの緊張要因がちょっと低下したということになるのかどうか。日本外務省がどういう総括をするのか、注視したい。
であるにしても、日本には「拉致」という揺るがせに出来ぬ問題がある。日本人を大量に拉致し、いまだに全容が解明されていない国家犯罪である。北朝鮮は「再調査」を約束しながら、なんらの誠意も見せていない。日本は日本の「国益」を踏まえて行動すればいい。まず、アメリカに厳重抗議すること。同盟国でありながら、事前にテロ支援国家指定解除をめぐり十分な意思疎通をはかってこなかったことを、思い切りなじる必要がある。ここで黙っていたら、独立国家の名が泣く。そのうえで、日米同盟の再確認をはかることが求められる。そして、対北経済制裁を一段と強化することだ。これによってテロ支援国家指定解除のもたらす北側の「利益」を、日本が減殺させる努力をはかる。そこに日本の役割を見出すべきだ。
その前提としては、インド洋の給油支援をストップさせるような、同盟の信頼関係を損なわせる態度には金輪際出ない、という強固な意思表明が必要だ。沖縄基地問題も同様で、普天間移設問題を早急に解決しなくてはならない。やるべきことをやらないで、アメリカの対応を批判するだけでは、説得力に欠ける。日米同盟は戦後日本外交の基軸である。政策選択として、この道を選んだのであって、その基本戦略は貫かれるべきだ。これに代わる道はない。であるからこそ、アメリカには率直にものを言える環境を常につくっておく必要がある。米下院の「慰安婦非難決議」を許してしまったことといい、国連常任理事国入りを果たせなかったことといい、日本外交の脆弱さはいかんともしがたい。「麻生外交」が試される局面が早くもやってきた。
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