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2008-10-23 00:00
中国産食品の有害度を明らかにしようとしない厚労省の不可解さ
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
冷凍餃子の記憶もさめやらぬうちに、今度はメラミン入りの牛乳騒ぎである。ウナギだ、冷凍野菜だと、食品に限っただけでも、有害薬品を使用している中国産品は数多い。産地偽装で儲けようとした日本の業者はカウントしないまでも、関西の老舗料亭を始め、食に携わる人々のモラルの低下は、眼を覆うものがある。が、中国の場合さらに問題なのは、「してはいけないことをしている」という意識が存在するのかどうか、また、中国政府に「臭いものには蓋」以上の基本的問題解決の姿勢があるのかどうか、が疑わしいところにある。
小学生の頃、悪いことをして先生に見つかった時、「悪いと知ってやったのですか」と聞かれる。答えが、イエスでも、ノーでも、救いはなかったのを思い出す。「知ってやった」といえば、「知らないでやったのならいざしらず、知っていながらやった、というのはより悪質だ」ということになったし、「知らなかった」といえば、「善悪のけじめさえつかないというのは、なお悪い」ことになる。中国に当てはめると、どういうことになるのだろう。
「道徳観そのものが違う」という見方がある。「日本流の倫理道徳観からすれば、十億人の詐欺や泥棒を相手にしているに等しい」と極論する人もいれば、「いやそうではない。孔孟を生んだ国ではないか。そんな筈はない」という向きもある。一つ決定的に違うのは、政府のメンタリティだ。社会保険庁から防衛省、さらには国交省まで、枚挙に暇のないお役人のひどい仕事ぶりや不祥事は日本にもあるから、あまり省みて他を論じることもできないが、日本の場合、お役所がひた隠しに隠したり、お身内を庇いたがったりすることはあっても、それがバレたときには、「世論なんて言うものは、統制可能だ」とはさすがに思わないということだ。あるいは少なくとも思わないふりをするように躾けられているということだ。ところが、あの国は必ずしもそうではない。
それでも、「健康状態について諸説ある将軍様の国よりはマシではないか」という説もあるが、経済大国の仲間入りをしようという国と、極貧の小国とでは、意味合いが違うこともまた確かだ。中国経済のバブルはいずれはじけるに決まっているが、それ自体は別に珍しいことでも何でもない。むしろ日本人の食生活そのものが、中国を相手にしないで成立するかどうかの方が重大事だろう。それにしても、今度の中国産食品をめぐる騒ぎについて、どれくらいの量を、どれくらい摂取したら健康被害が出るのか、厚労省が明らかにしようとしないのは、理解に苦しむところである。ついでにいえば、それを疑問視しないマスコミも、だが。
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