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2008-10-17 00:00
(連載)ガバナンスは、21世紀最重要の課題(8)
廣野 良吉
成蹊大学名誉教授
最後に、市民による「良いガバナンス」推進活動で何が出来るかについて、以下の7つのプログラムを例示することによって、今後の活動の指針としたいと考える。
(1)国内外で組織、地域社会、国レベルにおける各活動分野での「良いガバナンス」推進の成功例や失敗例を調査し、そこから貴重な教訓を汲み取り、国内外でのシンポジウム、ワークショップ、ニュースレター、ホームページ、マスコミ等を通じて、あらゆる組織、住民、国民に対し、広く教育広報活動を実施し、「良いガバナンス」の重要性に対する認識を向上させる「評価文化」の樹立に貢献する。
(2)「良いガバナンス」の普及に関心あるあらゆるステークホルダーとの連携・協力活動を強化して、国内外で国政、地域政策決定に参与する政治家との意思疎通をはかり、「良いガバナンス」に通じる立法面、行政面、司法面での税制改革を含めた政策提言をする。さらに、「良いガバナンス」に関する法律、条例が厳格に実施、実行されるように、マスメデイアの協力を得て監視し、その成果を今後の地方議会・国会議員の選挙活動や地方、中央での予算配分決定過程で活用する。
(3)企業を含めたあらゆる組織で「良いガバナンス」を定着させるために、当該組織管理者は、ステークホルダーの権限についての認識を高め、その遵守を可能にする政策や手続きを確立・開示し、組織の不正や権利の濫用を通報した内部構成員を報復から守る措置を講ずる。さらに、地方自治体、政府はこの措置を義務付けるための法制化をする。さらに、組織管理者は、構成員が不当な不利益を蒙らないようにするために、組織内の救済手続きを確立し、救済措置における無用な対立を回避し、調停や仲裁の活用を促進する。
(4)企業を含めたあらゆる民間・公的組織で、不正行為、非効率行為を防止するために、情報の公開および組織活動の透明性については、高い基準を設定し、その基準を積極的かつ公平に実施する能力、権限、廉潔性を保持できるよう、自主規制機関の実効性を監視する規制監督機関を引き続き強化する。なお、この点に関連して、この種の規制監督機関は、米国の連邦通信委員会、州際商務委員会、立法府直属の会計検査院のように、さらにわが国では経済産業省から独立した公正取引委員会に見られるように、政府の助成・育成施策を講ずる省庁から独立した行政委員会にする。
(5)現在、OECDが各加盟国の協力を得て実施している経済政策、ODA政策、規制政策、環境政策等のピア・レビュー(PR)と同じように、国際NGOと国際機関の協力を得て、各国の分野別ガバナンスの状況をPRし、その期限を定めた改善を勧告し、勧告の実施状況をモニターし、実施状況が不十分の場合には、その完全な実施を勧告することができる国際的取り決めを、地域レベル、たとえばアセアン/東アジア地域レベルで推進する。各国は、同様なメカニズムを国内でも構築する。
(6)市民による「良いガバナンス」推進を目標とした、国内外で通用する分野別ガイドブックを作成して、小・中・高校・大学の教材として提供し、これらの学校で先生、生徒、学生たちと交流し、それぞれの地域社会、国レベルで、この教材に基づいたガバナンスの実現に努める。国連を初めとする国際機関やトランスペアレンシー・インターナショナル、IUCN等の国際NGOとも協力して、これらのガイドブックの広範な活用策を講ずる。
(7)「良いガバナンス」の実例を基に、国際的に通用するミュージカル等演劇を制作し、国内外各地で広く一般市民のために上演し、「良いガバナンス」の普及に努める。(おわり)
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