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2008-10-10 00:00
(連載)ガバナンスは、21世紀最重要の課題(1)
廣野 良吉
成蹊大学名誉教授
10月1日新JICAが誕生したが、緒方理事長はその日の挨拶のなかで、「ガバナンスの改善」を新JICAが取り組むべき4つの最重要使命の一つとして掲げた。「新JICAは、すべての人々が恩恵を受ける、ダイナミックな開発(Inclusive and Dynamic Development)という新しいビジョンを掲げ、取り組みます。そしてこのビジョンを実現するため、(1)気候変動や水、食糧、感染症の問題などグローバル化に伴う課題、(2)公正な成長と貧困削減、(3)途上国政府の政策・制度などのガバナンスの改善、(4)人間の安全保障の実現といった4つの使命に取り組みます」と宣言した。
途上国のガバナンスは途上国の内政問題であり、そこへ立ち入ることには、諸般の政治的困難があり、内政干渉になる可能性が高いといことで、正面きって取り上げることに躊躇してきた従来の外務省やJICAの姿勢と対比すると、大きな飛躍である。長年の間、途上国の開発問題を研究調査してきた小生は、途上国の持続的な経済発展、企業成長、政治の安定、社会安定のためには、「良いガバナンス」が不可欠であるという結論に達し、国内外でこのことを主張してきた。そのため、1990年以来、外務省、JICAへの働きかけを強め、いろいろな国際会議の後援(2004年3月の国連大学における「東アジアにおける民主的ガバナンスの増進」など)をお願いしたり、時には共催(2000年12月の国際協力研修センターにおける「開発途上国の民主的制度の支援・強化におけるODAとNGOの役割」など)や主催(2008年2月の三田共用会議所における「日本の人権・民主主義外交の課題と展望」など)を提案してきた。
しかし、他の先進国に比べると、わが国のODA政策は、途上国におけるガバナンスないし民主化問題への対応が消極的であったといわざるを得ない。もっとも、1992年のODA憲章では「市場経済化・民主化」支援を主要課題としてきたが、選挙支援、法制整備支援等を除いては、積極的な支援は見られなかったといってよいであろう。そのために、小生は本年8月に「NPO法人市民によるガバナンス推進会議」を立ち上げ、その代表理事として、ガバナンスの改善を政界、産業界、学者、NGO、行政、国際機関等の協力を得て推進している。それゆえに、新JICAの方向転換には大変共鳴し、大いに勇気付けられている。ガバナンスに深い関心をもつ多数の仲間と共に、今後JICAのこの分野での使命遂行計画とその実施に注目していきたい。今回から8回にわたり、「ガバナンスは、21世紀最重要の課題」と題して本欄に小論を寄稿する次第である。(つづく)
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