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2008-10-03 00:00
常任副議長だより:「NEAT第6回バリ年次総会」について
村上正泰
東アジア共同体評議会常任副議長
東アジア共同体評議会はいろいろな活動をしておりますが、その要にいる人間のひとりとして、その活動内容をできるだけ分かりやすい言葉で、広く評議会内外の皆様にお伝えする努力をすべきではないかと考え、今回を第1回として、今後ときどき気の向くままの言葉足らずのものになるかもしれませんが、私の所感のようなものを「常任副議長だより」と題して皆様にお伝えすることにしました。今回は、8月24-25日にインドネシア・バリ島で開催された「NEAT第6回バリ年次総会」の模様について、所感を報告いたします。
NEATは「Network of East Asian Think-tanks」の略称で、「ASEAN+3首脳会議」によってその傘下に設立された、東アジア13カ国のシンクタンクのネットワークです。2003年に北京で開催された設立総会を第1回年次総会として、以後回を重ね、今回はその第6回でした。今回の年次総会には、ASEAN+3各国から約50名が参加しましたが、日本からは伊藤憲一団長など当評議会議員計9名が参加しました。日本代表団は人数の面で大代表団であるだけでなく、会議中における発言の積極さでも屈指の代表団でした。団員に論客をそろえた所為もありますが、「日本人は国際会議であまり発言しない」との定評があるなかで、NEATだけはその例外だったことは確実です。
例年そうなのですが、今年の会議でもその議論のクライマックスは、NEATから「ASEAN+3首脳会議」に提出する「政策提言」の起草作業でした。私自身が一番強い印象を受けたのは、人権や民主主義などの普遍的価値を「政策提言」に書き込むことの是非について、今年はまったく反対がなく、あまりにもすんなりと受け入れられたことでした。とはいえ、じつは議長国であるインドネシアから各国に配布された「政策提言」当初案には普遍的価値への言及はまったくありませんでした。普遍的価値への言及は、2005年の東京総会で日本が強力に主張して初めて取り入れられたものであり、それ以来毎年「政策提言」に取り入れられてきたものですが、それが今年の「政策提言」の議長国原案にはまったく見当たらなかったのです。
「東アジア共同体の目標、原理、価値」の記述がまったく消え去っていました。そこで、私から「去年までの『政策提言』に必ず含まれていた『グッド・ガバナンス、法の支配、民主主義、人権および国際法規範』という普遍的価値への言及がないままでは、NEATはこれらの普遍的価値から後退したと世界から見られてしまう懼れがあり、この原案には賛成できない」と発言したのです。実はこの普遍的価値への言及部分は、毎年激論の末にやっと採択されてきたという経緯があり、昨年のシンガポール総会で伊藤団長が一歩も譲らず激論を繰り広げる姿を目の当たりにしていましたので、これからあの激論が待っているのかと、かなり緊張しながら発言しました。ところが、昨年までの光景とは打って変わって、反対発言は一切なく、日本の修正提案は静かに受け入れられたのでした。内心いささか肩透かしを食わされた気もしたものの、ようやくのことではありますが、NEATにおいても「普遍的価値の追求」が共通認識として定着しつつあるのだと実感しました。少なくとも、「自分たちからは提案しないが、日本が提案してくれば、それにもう反対することはしない」とのコンセンサスが、日本以外のASEAN+3諸国の間に生まれたのは確実のようでした。
以上、私にとって印象的だった部分だけ述べましたが、詳細についてご関心のある方は、当評議会のホームページに「NEAT第6回総会・第9回国別代表者会議報告書」が掲載されていますので、ぜひそちらのほうをご覧ください。
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