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2008-10-02 00:00
(連載)阿南前中国大使 の講演を聴いて(2)
入山映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
中国問題に限らず、国際情勢に関して、その衝に当たっていた人から核心に触れた情報を得ることが余りにも少ないように思う。これは外交問題に限らず、内政一般についても言えることだが、時として巷間に流布するのは、暴露的な反体制の意図や、キワモノ、あるいは怨恨とは言わないまでも告発的な色彩を帯びているものがほとんどなように見える。守秘義務とか、与える影響の大きさからして、ある程度はやむを得ないと思うが、本来マスコミの使命というのは、核心に近い情報を取材し、公表することにもある筈である。
同大使が講演の中でも述べていたように、『中国の崩壊が始まった』、『本当にヤバい中国経済』、『中国沈没』といったタイトルの本が、書店には溢れかえっている。かつて読売新聞社会部が「会長はなぜ自殺したか」「会社はなぜ消滅したか」(いづれも新潮文庫)などで鋭く金融腐敗、大蔵(当時)、日銀の業界癒着ぶりをえぐり出したような、質の良い報道が最近余り見られないのは残念だ。
情報の氾濫の中にあって、質の良いそれを発掘するのには、読者側のメディア・リテラシーが要求されるのはもちろんだが、「めきき」の役割を果たす存在を国民が創り上げる、あるいは認識を共有することも必要だ。おそらくその役割が期待できるのは、民間の非営利組織をおいて他にはないだろう。鈴木崇弘氏の「シンクタンク2005」、工藤泰志氏の「言論NPO」、加藤秀樹氏の「構想日本」など幾つかの試みが活動しているのは、心強い。単なる知識教養番組としての講演会や朝食会を超えて、阿南大使のような人材が、そうした組織のリソース・パーソンとして論陣を張る日が近いことを望みたい。(おわり)
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