ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2008-09-27 00:00
市場万能主義の崩壊と日本の進路
山下英次
EUI・ロベール・シューマン高等研究所 客員フェロー
いまアメリカ金融市場で進行している事態は、市場万能主義(Free Market Capitalism)の見事な崩壊である。換言すれば、アングロ・サクソン型資本主義の崩壊である。私は、資本主義は、本来、自由市場と政府の役割の適切な混合であるべきと考えるが、実際、米国の金融市場は自由市場と縁故主義(crony capitalism)の混合である。これは非常に悪い組み合わせであり、純粋な自由市場よりも遥かに性質が悪かった。
米国金融市場の崩壊は、私の予想をも遥かに超えるものとなったが、いずれにせよ、ただ単にウォール・ストリートだけの問題にとどまらないであろう。当然、メイン・ストリートにも大きな影響を及ぼす。また、実体経済への影響は、ただ単に一時的なリセッションに陥るかどうかなどといった生易しいものではなく、すでに私が『国際金融』(外国為替貿易研究会)6月1日号の巻頭論文「アメリカの住宅バブル崩壊が意味するもの」で指摘したように、これは、米国経済の非常に長期にわたる衰退過程の始まりになるであろう。しかも、衰退のスピードはかなり速いものとなろう。なぜなら、米国経済は、全体として、長年にわたり無理に無理を重ねてきたからである。
私は、近年の米国の政策は、外交・安全保障政策、経済政策ともにひどくピントはずれで間違っており、いずれ、外交・安全保障政策、経済政策ともに破綻すると明言してきたが、手前味噌で恐縮だが、実際そのとおりになってきたのではないかと理解している。経済の衰退は、無論、間違いなくいずれ軍事力に対しても大きなマイナス要因として作用してくる。ある程度のタイムラグはあるだろうが、それほど長いタイムラグとはならないであろう。すなわち、米国の圧倒的な軍事力の優位性ということも、早晩なくなるということである。われわれはいずれ、そうしたポラリゼーション(多極化)の時代を生きることになる。
いつまでも、米国の古いそして特異かつ反国際的な世界観に取りつかれたまま、中国を牽制することばかりしか頭が回らないようでは、国益を大きく損ねることになる。アジア地域統合に対する日本の関与の意味を、いつまでも対中国牽制であるといった受動的な立場では、国を誤ることになるであろう。中国とともにアジア地域統合を堂々と推進していくという立場に立つべきである。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会