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2008-09-19 00:00
(連載)外交政策の一環としてのODAの戦略性(10)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
わが国もプロジェクト評価、部門別評価、課題別評価、国別評価の国際的潮流である成果主義を2003年以来導入し始めたが、その一層の進展を期待したい。さらに、国際協力機構が米国開発援助庁(USAID)やUNDP等の機構改革から学び、遅ればせながら打ち出した海外事務所への権限委譲や海外事務所専門家・スタッフ等の現地化も、わが国ODAの質的改善、効率化のために今後一層徹底させる必要がある。
日本に限らず、世界の主要援助国や国際機関は長い間、ODA評価基準を0ECD/DACで合意した5つの基準に求めてきた。すなわち、(1)案件が援助目的に対して合致しているかどうかをみる妥当性、(2)投入した援助量に見合った算出高が出たかどうかをみる効率性、(3)援助目標・目的を達成したかどうかをみる目的達成度、(4)完了した案件が、期待した成果があったかどうかをみる効果性、(5)完了した案件が今後も相手国・機関によって引き継がれていっているのかをみる持続可能性である。従来は(4)の成果の評価を投入高(input)によって測定していたが、近年では案件の最終的効果(outcome)によって測定する、いわゆる "RESULTS-BASED" 評価が支配的となっており、新JICAでも従来のJICAやJBICと同様に、それを指向している。
さらに、そのような意味での最終的効果をあげるためには、案件の開発から形成、実施、監視、評価すべての段階で現地事務所が、現地スタッフを活用した方が良いという理由から、現地事務所の権限・能力強化とスタッフの現地化を今後も一層推進していくことが急務である。
最後に、わが国としては今後、一部欧米諸国のように、自国の民主化モデルを押し付けるのではなく、開発途上国それぞれの国・地域の歴史、文化、宗教等に合致した形で、地域住民、国民が政治的意思決定に参加できる民主的ガバナンス体制の構築を、途上国と共に推進することが緊急事であろう。新JICAでは、この方向を一層強化していき、開発途上国から素直に受け入れられ、国内はもちろん国際社会からも真に尊敬される人類普遍の価値観の共有と日本の良き伝統・文化に基づいたODA政策が展開されることを願っている。これこそ、世界のリーデイング・ドナーとして、「南北間の架橋」となることを自任する21世紀の世界の中の日本の責務でもあると考える。(おわり)
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