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2008-09-17 00:00
(連載)外交政策の一環としてのODAの戦略性(8)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
国際社会と日本国民が納得する対アジアODA政策の樹立のためには、官邸・国会主導により国民各層が参加できる体制を導入することが急務である。地方自治体、大學、民間企業、市民社会、NGO等あらゆる主体が個別ODAプロジェクトの実施段階で参加するだけでなく、ODA政策・施策決定・監視・評価のあらゆる段階で参加できることが望ましい。そのためには、さらに情報公開を徹底し、「国民とともに歩むODA」へと転換するよう努めることが望ましい。また、その効率的な実施と成果のためには、縦割り行政の排除が不可欠である。
ODAは、援助供与国政府と受入国政府の間の取り決めによって実施されるということもあり、わが国では長年の間、大半の資金の流れは実施機関であるJICAとJBICがそれぞれのスタッフと外部専門家、コンサルタントとの間の委託契約で実施してきたが、1990年代に入ると、NG0や地方自治体との契約の基づいてODAを実施したり、途上国のNG0との連携で実施する「草の根無償援助」も拡大し、主に社会開発、環境、人づくりの面での協力も増大しつつある。NGOや地方自治体などは、単にODAプロジェクトの実施に参加するだけでなく、外務省、財務省、環境省とのODA政策形成・評価等の協議にも参加するようになってきた。しかし、わが国ではNG0や地方自治体が主体となっているODA供与は量的にも非常に限られており、他の主要援助国や国際機関に対比すると、余りにも小規模である。しかし、先に述べたように、わが国の今後のODAの重点分野を考慮に入れると、NG0や地方自治体を通じた対途上国支援を拡大することが望ましい。
途上国における紛争予防、平和維持・構築、復旧・復興活動について、わが国への参加要請が高まるに従い、それに効果的に応える国内体制の整備を急がねばならない。この場合最も重要な課題は、従来見逃されてきたわが国ODAを国連PK0/PB0や自衛隊と連携させることである。この連携を阻害しているあらゆる法的・制度的制約条件は、迅速かつ効果的に除去することが不可欠である。
その一環として、諸々の選択肢が考えられるが、自衛隊の一部に平和維持・構築に不可欠な技術的・文化的・言語的能力をもった部門を設置し、当該国へのODA供与機関、国連組織、他国の平和維持・構築部隊などとの連携を強化させることが望ましい。さらに、自衛隊のこのような組織改革と共に、新JICA等わが国のODA供与機関に、紛争予防、平和維持・構築、復旧・復興に不可欠な技術的・文化的・言語的能力をもった専門部門を設置することが不可避である。さらに、内閣府にある国際平和協力室の調整機能を強化しなければならない。このような新JICA、PK0/PB0担当機関、自衛隊における組織改革と必要人材の養成は、平和維持・構築から復旧・復興へと縫い目のない援助活動を可能にして、この国際協力分野におけるわが国の援助活動の一体化と一層の効率化に貢献することになる。(つづく)
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