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2008-09-14 00:00
(連載)外交政策の一環としてのODAの戦略性(5)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
わが国のODA政策では、一方で貧困削減、HIV/AIDS撲滅、環境保全、紛争予防のための良い統治の導入、食糧増産の観点等地球的課題への対処で、他のODA供与諸国と協力することが不可欠であるが、同時に二国間ODA政策では、その歴史的、経済的、文化的交流、さらに安全保障の重要性から、中国、韓国、インド、シンガポール、マレーシア、タイ王国等この地域のODA供与国と協議しつつ、アセアン諸国、南アジア諸国を含めた近隣アジア諸国との関係の安定化、緊密化が最優先されるべきであり、ODA政策もこれらアジア諸国への支援を重視することが望ましい。
しかし、対SSA支援の強化は、わが国が主導して1993年から98年、2003年、2008年と4回にわたって共催してきた「アフリカ開発東京国際会議」(TICAD)の具体的実績を、わが国の貢献として世界に提示するためにも不可欠であり、また一昨年のグレンイーグルズG8首脳会議での「対アフリカ支援合意」とそこでの小泉総理の対アフリカ支援策強化と今回のTICADⅣでの福田総理のイニシャテイブと国際的合意を具体化するためにも必要であろう。
日本を含めた先進諸国は、「新世紀開発目標」(MDGs)にみるように、国際的に合意された援助目標の達成にむけたODA政策を共有しているが、これらの国際合意目標以外にも、あるいはその目標を達成する場合でも、自主的外交政策の下で優先されるODA政策目標を樹立・実行していくのは当然である。例えば、地域的優先度からすると、英国、フランス、ベルギー、オランダ等EU諸国が過去の宗主国として、伝統的にアフリカ地域やアジア地域の旧植民地支援を優先したり、その経済・文化交流関係、あるいは自国の安全保障上の理由から米国が中南米諸国への支援を重視したり、オーストラリアが南太平洋諸国への支援を、さらに日本が近隣のアジア諸国への支援を優先するのは当然であろう。
しかし、アジア諸国の中でも、経済発展水準や技術水準、所得・消費水準にも大きな格差が存在しており、また政治体制も多様であることを考慮すると、被援助国との協議は勿論のこと、他の主要援助国と国際機関との協議に基づく国別援助計画の作成とパートナーシップによる実施体制の強化、恒常的なモニタリングによる援助調整が不可欠となる。廣野良吉編『世界経済のグローバル化と人間の安全保障』(1999)などを参照願いたい。(つづく)
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