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2008-09-08 00:00
グルジア紛争と日本の対応
櫻田淳
東洋学園大学准教授
グルジア紛争は、ロシアが南オセチアとアブハジアの独立を承認するに至って、ロシアも米国・欧州連合も互いに引き下がれないところで膠着している観があるけれども、それは、日本にとって他人事として済ます政策案件ではない。米国・欧州連合の政界からは、「ロシアをG8(主要国首脳会議)から排除すべきだ」という声が上がり、ドミトリー・メドベージェフ(ロシア大統領)は、「我々はG8から排除されることを恐れない」と応じているけれども、日本もまた、G8構成国であり、ロシアの隣国である限りは、こうしたロシアの動向には少なからずの影響を受けざるをえないであろう。
筆者が判断する限り、グルジア紛争は、米国・欧州連合におけるコーカサス地域への影響力拡大という「打算」と「自由・民主主義」を支援するという「善意」、グルジアにおける西側諸国の支援への「期待」とロシアの意図への「予断」、さらにはロシアにおける「強いロシア」志向に伴う「驕慢」と自らの「裏庭」を脅かされることへの「焦慮」といったものが、複雑に重なった案件である。こうした複雑性の故に、ロシアの紛争対応を批判して事足れりという姿勢は、日本にとっては賢明ではない。
G8(主要国首脳会議)からロシアを排除すべきだという議論に関しては、たとえ日本政府の対応としては、最後には米国と欧州連合の側に立つしかないにしても、日本が、米国を除けばロシアに隣接する唯一の国であるという立場は、明確に打ち出されるべきであろうし、冷戦期とは異なり、ロシアがエネルギー・資源管理、環境保護の観点からも決して疎外するわけにはいかない国になっている事実は、適切に提起されるべきであろう。「親米」、「親露」、「反米」、「反露」という固定的な立場で対外姿勢を論ずるに不適切である事例が、この案件である。
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