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2008-08-08 00:00
(連載)外務省の不信不義は今に始まるものではない(1)
佐藤守
元航空自衛官
中国でも“自国製ギョーザ”で中毒事件があったという。あの有名な「天洋食品」製ギョーザだが、回収した品が倉庫から流出しているというところが、かの国らしい。これで中国国内で仕組まれた事件であったことがほぼ確実になったのだが、事件は6月中旬に起き、「中国側はこの事実を、7月はじめに外交ルートを通じて日本政府に伝えていた」という。ここが問題である。先日も、米国海軍の原子力潜水艦が、軽微な放射能漏れを正直に外務省に通告していたにもかかわらず、外務省がこれを伝達・公表しなかったため、問題は日米問題化し、とりわけ左翼からは「米国の不正義」として扱われている。「冗談じゃない、ちゃんと通知していたのだから、責任は日本政府にある」と米国は言いたくなるだろう。
今回のギョーザ問題も、何が問題だと考えたのか知らないが、「国民に情報を公開しない」というミスを犯した。これではますます国民は政府を信用しなくなるだろう。今私は、大東亜戦争の真実を求めて、関連書籍を手当たり次第に乱読しているのだが、日米開戦直前に大使に任ぜられてワシントンに向かった野村吉三郎氏の回顧録『米国に使して』には考えさせられる点が多い。野村氏の外務大臣時代に外務省通商局の分離独立案(「貿易省」にする案)があり、これに外務省は猛烈に抵抗し、今で言う「省益」が絡んで紛糾したのだが、その責めを負った野村「大使」には、外務省の「抵抗」が続いていた、と私は見ている。
昭和36年に発行された『野村吉三郎』(木場浩介編)は、野村外務大臣就任の出鼻をいきなり挫いたのは、「貿易省問題に端を発して外務省事務当局が官僚縄張り主義を振りかざしてやってのけた官吏一揆であった。つまりストライキである」と喝破している。そして、それがあの12月7日の「翻訳遅れ」に繋がっていく。「英語もろくに出来ない海軍大将」にすべての責任を負わせ、戦後この“事件”の関係者たち〈ワシントン大使館勤務者〉は皆出世して、いい生活を送った。大東亜戦争の開戦責任が「陸軍の東条英機大将」に向けられたのと同じ構造である。『米国に使して』は、昭和21年7月に岩波書店から発行された野村大使の回顧録だが、日米開戦を回避しようとする野村大使の切々たる心情が伝わってくる。(つづく)
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