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2008-08-05 00:00
(連載)なぜアセアン通貨協力は進まないか(1)
村瀬 哲司
龍谷大学教授
アセアンは2015年までに経済共同体(AEC)の実現を目指しているが、公表された工程表を見る限り、貿易・投資など実体経済にかかわる分野では意欲的に準備が進められる一方、金融・資本取引についてはやや慎重な姿勢がうかがわれる。危機対策としての通貨協力は、別途チェンマイ・イニシャティブの多角化の形で進捗中であるものの、為替相場安定のための通貨協力は、まったくふれられていない。
部分的にせよ単一市場まで築こうとするAECが円滑に機能する上で、域内通貨の安定は必要条件であるといっても過言ではない。かつて欧州が1993年に、単一市場を実現しようとした時、準固定相場の欧州通貨制度では不十分だとして、単一通貨導入の決断をしたことでもわかるだろう。アセアン中央銀行フォーラムは、2002年にアセアン共通通貨に関して時期尚早との研究結果を発表した。それはその通りだとしても、AECの準備作業の過程で、為替相場安定メカニズムに言及しないのは、片手落ちの感がある。
アセアンで通貨協力を妨げている要因を整理してみると、(イ)弱い問題意識、(ロ)経済格差とそれに伴う政策目標の差異、および(ハ)国家主権の壁と政治的意思の欠如の3点を挙げることができるだろう。
関税をおおむね5%以下としたアセアン自由貿易地域(AFTA)がすでに動いている一方、加盟国の為替相場制度は管理変動相場制ないし独立変動相場制が主流である。固定相場制(ペッグ制)にはアジア通貨危機の記憶が結びつきやすいのに対し、現状の変動相場制でも致命的な不自由を感じないのであれば、政治的にセンシティブな地域通貨メカニズムをあえて議論することもあるまい、と言うところか。(つづく)
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