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2008-07-30 00:00
(連載)平和と安全保障に関する発想転換を急げ(2)
神谷万丈
防衛大学校教授
そうした中で、軍事力の役割にも劇的な変化が起こりつつある。かつての軍事力は、戦って敵を撃破することを主目的にしていた。端的に言い換えれば、軍の伝統的な中心機能は、「敵を殺す」ことであった。ところが、現在の国際平和活動に従事する軍隊にとって、戦うことは中心的な目的ではない。彼らは、平和を作り出す手助けをするために紛争地に向かうのであり、「敵を殺す」ことを目指すのではない。平和構築における軍は、治安の回復と維持、人道援助、復興開発への協力といった、伝統的には軍の任務ではなかった役割を求められるようになった。難民キャンプの設置、学校、道路などのインフラの建築、飲み水の供給といった、全く軍事的ではない機能が、むしろ中心的な重要性を持つことも多い。
だが、話はそこで終わらない。新たな国際平和活動に従事する軍隊には、必要があれば、断固として戦うことも依然求められているからである。それは、平和活動を、暴力で妨害する勢力に対してである。国連のブラヒミ報告(2000年)が述べたように、国家、国際組織、NGOなどの非軍事要員が安心して活動できる空間は、軍事力によってしか確保できない。ある先進国の将官が語るように、平和構築活動における軍は「敵を殺すことを目標としないにもかかわらず、活動に銃口を向ける者は確実に殺せなくてはならない」のである。
こうした認識の変化を踏まえて、世界の主要国は、今や、各地で「平和を作り出す」ための諸活動に従事している。その経験を踏まえて、今回私が参加したような会議で、これから何をすべきかが真剣に話し合われている。ところが、そうした活動にほとんど参加していない日本は、そのプロセスの中から抜け落ちかけているのではなかろうか。(つづく)
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