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2008-07-29 00:00
(連載)平和と安全保障に関する発想転換を急げ(1)
神谷万丈
防衛大学校教授
4月末からイタリアのコモ湖畔で開かれた、英国国際戦略研究所(IISS)と米国国防大学の共催による「国際安全保障の変化と米国の役割の再考」に関する国際会議に出席してきた。会議には、世界の約20ヶ国から安全保障専門家、外交官、NGO指導者などが参加し、NATO軍事委員会次期委員長のイタリア海軍大将や、最近までアフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)で南部地域コマンド司令官を務めたオランダ陸軍少将も、駆けつけた。
5日間にわたる会議は、知的刺激に満ち溢れていた。会議場も、欧州有数の景勝地にあるかつての大富豪の大邸宅を改修したもので、申し分なかった。にもかかわらず、帰国の途についた私は、心の中に重苦しい滓のようなものが沈殿しているのを感じていた。議論を通じて、世界で今まさに起こりつつある安全保障や平和についての発想の革命的転換から、日本が取り残されつつあるのではないか、と危惧せざるを得なかったからである。
かつては、国連の平和維持活動を中心にしていたグローバルな安全保障協力は、現在では、紛争後から平和への移行プロセスを援助するための諸活動へと大きく幅を広げ、国連の枠組みの外での活動をも包摂するようになりつつある。この範疇には、平和構築、国家再建、人間の安全保障の促進といった諸活動が含まれ、その達成には、軍事・非軍事の両要素が必要とされる。ポスト9・11の脅威認識の変化の中で、先進諸国は、こうした、紛争地に「平和を作り出す」ための活動を、国際的な平和と安定を維持することにより自国の安全を高めるという観点から、国益上必要な活動と見るようになった。特に、内戦型の紛争が長引き、政府が機能不全に陥った破綻国家が、国際テロリストの根拠地になりやすい点が重視されている。NATO諸国がアフガニスタンに介入を続ける最大の動機もここにある。(つづく)
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