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2008-07-27 00:00
(連載)圧力に屈して外交は成り立たない(1)
茂田宏
元在イスラエル大使
7月14日、文部科学省は、中学学習指導要領の社会科解説書の「北方領土は、わが国固有の領土で、ロシアが不法占拠している」との記述の後に、「また、わが国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様にわが国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」との記述を加えた。この文言には韓国に対する配慮の跡が見られるが、韓国は反発している。7月15日には駐日韓国大使が藪中外務次官に抗議し「誠意ある措置がなければ、李大統領の訪日や福田総理の訪韓にも影響が出かねない」とした後、本国の命により帰国した。7月17日には、韓国側は、7月22~24日のASEAN地域フォーラムで日本より外相会談の申し入れがあったが、その「計画はない」と回答したと明らかにした。7月19日には、韓国連合ニュースが、日韓自由貿易協定交渉再開協議が、事実上無期延期されると伝えた。更に韓国の政治家の中には「対馬を韓国領と主張すべし」などの発言も出ている。
竹島問題について、韓国は「竹島の日本編入は、併合への第一歩だった」と教育しているが、それを裏付ける歴史資料は示していない。そんな資料はないのではないか。福田総理は「冷静に」と述べ、日本の政治家には「大人の対応を」と言っている人がいる。しかしながら、私は今回の韓国側の騒ぎについては、韓国に宥和的姿勢をとるのは良くないと考えている。主たる理由は次のとおりである。第1に、韓国はこの問題について日本に圧力を加えようとしている。外交では、圧力をかけることはよくあるが、同時に、主権国家は圧力に屈することはしない、あるいは実質的には圧力に屈した場合も、そのような形にはしない、のが通例である。そうでないと、「圧力をかければ、降りる」と相手は思い、そういう行動を繰り返すことになる。「圧力は無意味である」ことを明確にしておくことが、問題を話し合いにより解決する基盤(つまり外交的基盤)を作るからである。領有権問題については、尚更、そうすべきである。
戦後の日本は、どこかの国が圧力をかけてきたときに、物事を穏便に済まそうとしすぎてきた感がある。例外は、小泉首相が靖国参拝で中国の圧力を撥ね付けたことくらいしかない。しかし、これはよいことではない。「日本には圧力をかけても、逆効果である」というくらいにしておくのが、外交の資産になる。イスラエルやロシアは、圧力をかけようとする国には、そのことだけで反発するが、他の国も大体同様な行動パターンを採用している。韓国で勤務していた頃、閣僚が終戦記念日に不適切な発言をしたというので、「適切な措置」を求められることが何度かあった。発言だけで暗に閣僚辞任を求めるなどというのは、内政干渉のような話である。こういうのは断固拒否すべきだと思ったが、日本国内で問題が提起され、結局辞任になるので、韓国側がそういう要求を何度も行うようなことになった。(つづく)
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