ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2008-07-03 00:00
日本のODAに対する世界の厳しい目
入山映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
アフリカに対する開発援助については「TICADⅣを主催します」「中国の積極策に対抗して新たなイニシアティブを展開します」「日本頑張ってます」と浮かれた口調の目立つ昨今だが、日本のアフリカ政策は世界からどのように評価されているかについて、頭から冷水をぶっかけられたような報告書が刊行されているのを知っておくのも意味があるだろう。Center for Global Development(CGD)というのは、アメリカの開発関係シンクタンク。毎年先進21カ国の開発援助を7つの指標に基づいて評価しており、その結果はCDI(Commitment to Development Index)として公表されている。今年は、特にアフリカについての各国開発協力の成果を別に評価し、これを公表した。7つの指標とは、(1)開発援助、(2)貿易、(3)投資、(4)移民受入れ、(5)環境、(6)安全保障、(7)技術移転で、総合評価において、日本は21カ国中最下位にランクされた。
ちなみに、各項目について21カ国中のランキングを紹介すると、(1)開発援助に関しては16位、(2)貿易21位、(3)投資16位、(4)移民受入れ21位、(5)環境17位、(6)安全保障21位、(7)技術移転のみが辛うして3位、という惨憺たる評価である。歴史的にアフリカと関係の深かった欧米諸国との対比だという点を割り引いて考えても、世界の目には厳しいものがある、と考えるべきだろう。なお、アフリカのみならず、開発援助全般についても、日本の評価は21カ国中最下位である。順位は、(1)開発援助21位、(2)貿易19位、(3)投資16位、(4)移民受入れ20位、(5)観光17位、(6)安全保障21位、(7)技術移転3位である。為念。
世界中のODAが惨憺たる結果に終わっているというのに、日本のアジア向けのODAだけは、人も知るとおり「アジアの奇跡」を生んだ。それに対する評価としてはいくらなんでも、という気がしないではない。だからCGDの評価は欧米流の失敗の軌跡の延長線上にあるものだ、と黙殺するのも良い。しかし、日本の開発に対する取り組みについての世界の目には相当に厳しいものがある、と読むことも可能だ。「顔の見える援助」などと、人目や外見に意を用いることの虚しさを認識するのも良い。いづれにしても、世界の目から視た日本という意味では、CGD報告書は一つの材料を提供する。それ以上のものでも以下のものでもない、と冷ややかに対応するのもよいが、こうした議論や尺度について日本が代案を示して積極的に打って出るほうが生産的だろう。それをお役所がやったのでは、単なる自己正当化としか受け取られない。「民」の組織が行うからこそ意味があることは忘れてはならない。
CGDは最近ミャンマー国民のサイクロン被害による食糧難に対して、日本がアメリカ始めタイ、ベトナムなどから豚や鶏の飼料用に輸入している150万トンに及ぶコメの備蓄を、緊急に放出すべきであり、それに対してアメリカは第三国向けの輸出を許すべきだ、という提言を行い、それに呼応して日米両国がアクションをとったのは周知のとおりだ。国際NGOにはあのグリーンピースや、国境なき医師団など多くの活動団体が存在する。どこかの国のお役所べったりの外郭団体とは違い、数多くの専門スタッフを擁して国際的活動を展開し、世論に対する影響力も大きい。中にはいかがかと思われる発言や行動に走っている団体もあるが、お役所の発表、官僚の政策を鵜呑みにするのではなく、こうした世論動向もあることはもっと知られてよい。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会