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2008-06-22 00:00
帝国とマルクス主義はアジア的でない
四条秀雄
不動産業
東アジア共同体構想のモデルとなっている欧州連合(EU)は、ローマ帝国・フランク王国・神聖ローマ帝国(第一帝国)・ドイツ帝国(第二帝国)・ナチス第三帝国という欧州亜大陸の帝国興亡史の中に位置づけられる存在でもあります。その一方の主役は、ゲルマン・ドイツ・カトリックであり、他方の主役は非ゲルマン・非ドイツ・プロテスタントなのだと思います。EUが形をなしつつあるときに、イギリスが一歩腰を引いているなかで、ドイツ人の法王が誕生したというのはある意味で象徴的なことなのかもしれません。こういうEUの歴史的背景を考えると、東アジア共同体というのは、経済的な側面以外には価値が見出せるとは、とても思えないものがあります。
そして、東アジア共同体と同様にアジア的でないものがもう一つあります。それはマルクス主義です。これはイギリスでドイツ人が書き上げたものですが、非常に特異な経済思想です。それは単なる経済思想に止まるものではなく、非常にメシア的な色彩が強く、その思想の普及過程は束縛・弾圧・迫害のエピソードに溢れています。私は、神聖ローマ帝国の後継として登場しつつあったドイツ帝国(第二帝国)の民族的、宗教的な強固さを崩すために、当時のライバルであったイギリスが、ドイツ内部の分裂を誘うために送り込んだ戦略的思想工作の産物だったのではないか?とさえ思っています。
普仏戦争敗戦後のパリ・コミューンが原型となり、日露戦争敗戦後にはロシア革命が、第一次大戦敗戦後には皇帝退位とドイツ革命が起こっています。これらを見ると、戦前日本の対米戦争突入による崩壊は、軍部の暴走の結果だといわれてきましたが、実は共産主義者による革命成就のための敗戦誘導の結果だったのではなかったか、と疑念を抱きます。
企業経営をされた方ならご存知かと思いますが、企業内の分配構造は非常に文化的にできています。投資にどれだけ、労働者にどれだけ、投資家にどれだけという分配の意思決定は、非常に歴史的で、文化的な構造をもっています。何が正解であったかは、事後的に環境適応に成功したかどうかで判定されます。ここに闘争関係を持ち込むのは非常に破壊力のある思想工作だと思います。マルクス主義で想定されている分配構造は、実は非常にアングロ・サクソン的で、それ以外の文化圏のものとは異なっています。私は昔から、冷戦期の日本でなぜこんなにもマルクス主義が勢力を持ち、子供の時から選択肢のないまま教育されるのか、不思議でなりませんでしたが、日本においても、マルクス主義の浸透によって分裂の芽が播かれていた、と考えれば理解できるかもしれません。
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