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2008-05-21 00:00
対露配慮でアジア外交を歪めるな
山田陽子
大学院生
河東哲夫氏は、3月28日付けの本欄への投稿「外貨50兆円を溜め込んだロシア」において「ロシアは、アジア・太平洋の一員として是非認めてもらいたい、そうすることで極東地方の地歩を少しでも高いものにしていきたいと考えている。だから日本はロシアとも、アジアのことを話し合っていくべきだ」と述べておられます。具体的にどのような形でそれを進めていくべきとお考えなのかまでは、明らかではありませんが、私はアジア政策の方向性と矛盾しないように気をつける必要があると思います。
近年のロシアは、アジア太平洋地域への関与を強化することにに強い関心を有していると言われており、例えば「東アジア・サミット(EAS)」への参加を希望しています。東アジアの地域協力は、最近までASEAN+3の13ヶ国の枠組みとして展開してきましたが、EAS発足により、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16ヶ国の枠組みとなりました。これに反対した中国は、EASを潰すために、ロシアもEASに参加させればよいとの態度を示し、実際、2005年にクアラルンプールで開催された第1回目の首脳会議には、ロシアが冒頭のみゲストとして参加しました。
ロシアをアジア太平洋地域に引き入れることは、ロシアに対してある程度のレバレッジになるかもしれませんが、もしそれがロシアのEASへの参加を認めるというようなところまで行けば、EASは存在意義を失い、事実上蒸発してしまうでしょう。もちろん、ロシアとの間で「アジアのことを話し合っていく」こと自体は構わないでしょうし、それ自体を否定するものではありませんが、アジアの地域協力を推進しようとしている日本として、その対露政策は、その対アジア政策と齟齬をきたさないようにしなければなりません。
河東氏は、「北方領土問題についても、歴史的・法的な経緯とか事実関係、そして正義感に訴えるだけでは、もう効かない」とした上で、「ロシアにとっても切実な問題である極東・東アジアの安全保障、政治的安定・経済繁栄の確保を話し合えば、ロシアにとっても日本との関係推進がもたらすメリットが目に見えやすくなるのではないか。対日関係推進にプライオリティを置いてもらわなければ、領土問題などとても動きはしないだろう」と述べておられます。しかし、これまでの日本の対露外交は「経済関係を発展させれば、自ずから領土交渉も進む」という思い込みで進めて、失敗してきており、そこから教訓を学ばなければならない思います。ロシアに対する歪んだ配慮がアジア外交まで歪めることがないように望んでいます。
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