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2008-04-28 00:00
欧州におけるアジア統合に対する関心
山下英次
EUIロベール・シューマン高等研究所 客員フェロー
私は、4月から半年間の予定で、イタリア・フィレンツエ郊外のフィエーゾレの丘の中腹にある欧州大学研究院(EUI: European University Institute)のロベール・シューマン高等研究所(RSCAS: Robert Schuman Centre for Advanced Studies)に、客員フェローとして滞在している。こちらへ来てまだ3週間足らずであるが、ヨーロッパの人たちのアジア統合に対する関心が高まってきていることを実感している。アジア地域統合の非常に熱心な推進論者を自認する者として、喜ばしい限りである。
EUIは、1972年に設立された大学院大学で、EUの関連機関のひとつであり、欧州統合の最も重要な研究拠点である。ちなみに、欧州委員会の現在のデュラン=バローゾ委員長も、若いころEUIのサマー・プログラムで勉強した経験を持つ。経済、歴史・文明、法律、政治・社会科学の4つの研究科に加え、ロベール・シューマン高等研究所(RSCAS)とマックス・ヴェーバー・プログラムを擁している。私がいま在籍しているRSCASは、1992年に設立された欧州統合に関する学際的な研究機関である。
話は、欧州におけるアジア統合に対する関心の問題に戻るが、まず、欧州委員会は、2008年第1四半期のユーロ・エリア経済に関する四季報で、まだかなり時間がかかるとしてもアジア通貨統合が実現すれば、今後長期的に予想されるドル安の重荷をユーロとともに分担してくれることになるので、基本的に歓迎すべきことだとしている。そして、通貨統合の実現には、域内諸国経済のモニタリングの仕組みを整えることが特に重要であるが、欧州は長年にわたってモニタリング体制を整えてきたわけであり、その経験をアジアに対して助言できるとしている。
また、今年3月10日、アジア開発銀行(ADB)と欧州委員会は、ブリュッセルのシャルルマーニュ・ビルディングで、「欧州とアジアの統合:これまでの実績と今後の挑戦」と題する国際会議を共催した。私は、2006年10月、大阪で、大阪市立大学と駐日欧州委員会代表部との共同主催により、3日間にわたって開催された「ヨーロッパに学ぶアジア地域統合の可能性:東アジア共同体を考える」と題する国際シンポジウムをオーガナイズしたが、先月のADBと欧州委員会の共催による国際会議も同じ問題意識に基づくものであろう。ちなみに、2006年10月の大阪会議には、東アジア共同体評議会(CEAC)も共催者として名を連ねたものであり、また、多くのCEAC有識者議員の方々にスピーカーとして来ていただいた。
RSCASでも、ステーファノ・バルトリーニ所長をはじめとして、今後、アジア研究に本格的に取り組み、さらには欧州とアジアの2つの地域統合のテーマにも挑んでいこうという姿勢である。私としても、自分がこれまで強い情熱を持って追求してきたテーマだけに、何らかの形で共同研究等を企画・推進し、貢献できればと考えている。
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