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2008-04-09 00:00
(連載)持続可能なアジアのための環境人材育成(6)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
周知のように、今年7月に開催される洞爺湖サミットでは、G8の首脳たちが、世界経済情勢、アフリカ開発の諸問題、感染症対策等と並んで、気候変動問題を討議し、何らかの合意文書を発表する予定である。気候変動問題は、一つには温暖化の防止であるが、もう一つは気候変動への適応である。先進諸国の関心が主として前者であるのに対して、途上国の関心は後者が大きい。そのことは、既にナイロビでのCOP12(国連気候変動枠組条約国会議第12回会合)、バリ島でのCOP13(同第13回会合)の討議で明白である。地球的規模の気候変動がもたらす生態的、経済的、社会的、政治的影響は多大である。その主要な影響には、以下のことが予想されている。
*中緯度・半乾燥低緯度地域での旱魃の増加:数億人が水不足に直面する可能性大
*低緯度地域における穀物生産性の低下
*森林火災リスクの増大
*洪水と暴風雨による人的・物的被害の増大
*海洋の深層循環の弱化による生態系の変化
*広範囲に及ぶ沿岸湿地の消失、氷河・積雪の融解と海面水位の上昇による小規模島嶼国の一部水没
*熱波、洪水、旱魃による罹病率と死亡者の増加
*感染症媒介生物の分布変化による風土病の広がり
*種の絶滅リスクの増大(珊瑚の白化・死滅等)
京都議定書の下で、日本が1990年比で6%の温室効果ガス(GHG)削減義務を負っているのは、地球温暖化の防止に大きな責任をもっているというだけでなく、途上国の適応に大きな貢献ができる国であるからである。さらに、二酸化炭素排出の絶対量ではなくて、他の削減義務先進諸国と同様に、一人当たりの二酸化炭素排出量が大きいという理由からである。しかし世界全体の二酸化炭素排出量の削減が、今後の地球温暖化対策に不可欠であることを考えると、京都議定書後の2013年以降は、中国、インド等絶対量で二酸化炭素排出量が大きい途上国も、ベルリン・マンデートの下での「共通だが、差異ある責任」原則に従って、何らかの形で削減義務を負うことが当然であろう。
これが昨年12月のバリで開催されたCOP13での合意であり、この国際的合意に従って2013年以降の新しい国際的枠組みへの模索が、今年のG8洞爺湖サミットの場で中国、インド、ブラジル等二酸化炭素排出主要途上国を含めて、始まることになっている。2008年の日本は、G8議長国であり、今年ポーランドで開催予定のCOP14までに少なくともG8諸国間での合意を形成し、来年デンマークでのCOP15において新しい国際的枠組みを設定できるよう、指導力を発揮すべき立場にいるといってよい。(おわり)
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