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2008-04-08 00:00
(連載)持続可能なアジアのための環境人材育成(5)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
最後に挙げる脅威としては、人間の日常生活と経済活動に不可欠なエネルギーとその消費から発生している大気の汚染、地球的な気候変動問題がある。再生不能エネルギー資源多消費型経済成長は、第二次世界大戦後世界的に展開してきたが、途上国の経済成長が高度化してきた1970年代から今日に至るまでが特に顕著である。世界の一次エネルギー消費量は、国際エネルギー機関(IEA)が公表している「世界エネルギー主要統計2007」によれば、6,034百万トン(1973)から11,434百万トン(2005)へと増大しており、特に、その中で石炭、石油、天然ガスという地下資源への依存度は、2005年現在それぞれ25.3%、35.0%、20.7%(途上国ではそれぞれ、32.5%、31.0%、14.1%)となっており、原子力、水力/太陽光/風力/地熱、バイオマスが占める割合は、それぞれ6.3%、2.6%、10.0% (途上国ではそれぞれ1.4%、2.9%、18.0%)となっているに過ぎない。
エネルギー資源の消費量については、特に中国の伸びが著しく、中国政府の発表によれば、1975-2030年で見ると、一次エネルギー消費は、876,568千トンから2,625,336千トンへと3.6倍増を予測しており、そのうち、石炭が624,117千トンから1,380,243千トンへと2.6倍増、石油は204,587千トンから745,142千トンへと4.3倍増、天然ガスにいたっては26,058千トンから275,894千トンへと7.9倍増を予測している。原子力、水力、新エネルギーの倍率は、それぞれ11倍、4.3倍、13.7倍増を予想している。
それに伴い、エネルギー起源のSO2排出量およびCO2排出量は、同期間にそれぞれ3倍増および3.2倍増が予測されている。特に、高度経済成長、急速な工業化、国民所得の上昇に伴い、一人当たり電力消費量は飛躍的に増大し、1980-2004年期間に日本の1.5倍に対して、中国は5.5倍増を記録している。二酸化炭素排出量も急速に上昇しており、1990-2004年の期間に日本の1,071百万Mトンから1,257百万Mトンへの増大に対して、中国では2,399百万Mトンから5,007百万Mトンへと飛躍的に伸びている。世界構成比でみると、中国は10.6%から17.3%へと上昇しており、日本の4.7%から4.3%への低下と対照的である。
過去15年間の中国の二酸化炭素排出量の伸びが急速であった基本的理由は、高い経済成長、急速な工業化の進展、エネルギー多消費型産業構造および輸出構造への転化が大いに作用しているが、同時にエネルギー効率が低い古い生産技術への高い依存度と、エネルギー生産に占める二酸化炭素排出量が最大の石炭への高い依存度が影響してきたことは疑いない。ただ一人当たりの二酸化炭素排出量でみると、中国は2004年現在3.8Mトンであり、途上国平均の2.4Mトンより高いが、日本の9.9Mトンには遥かに及ばない。(つづく)
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