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2008-03-05 00:00
(連載)日本の対アフリカ環境協力のあり方(3)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
かくして、アフリカ地域における気候変動は、河川・湖沼、農地、牧草地、漁場、森林等天然資源の稀少化、枯渇化を通じて、既に人々、特に貧困層や環境難民にとって脅威となっており、先進諸国やGHGの大量排出国におけるGHG削減による地球温暖化削減・防止は、アフリカ地域の人々、政府にとって最大の関心事になりつつある。
もちろん、アフリカ諸国が自国の中長期開発計画で、資源の有効利用と環境保全の両立を図ることは基本である。その具体例としては、気候変動と天然資源管理の主流化、品種改良、土地利用制度の改善、河川流域での資源保全のための植林、伝統的な漁法への復帰、コミュニテイによる森林管理体制の確立、都市農村での水利用効率の改善、エネルギー等資源の保全、国内外の資源採掘企業による地域住民への情報開示の徹底化と政府収入の透明化、環境教育・持続可能な開発のための教育の拡充、市民社会組織の人的・資金的・組織的能力の拡充等が考えられる。また、自然災害予報・予防体制の確立も今後一層重要となろう。さらに、アフリカ諸国には、京都議定書で採択された開発指向的な「クリーン開発メカニズム」の活用が求められる。
アフリカ地域の最貧国の現状を考慮すると、上述の国内措置を強化するためにも、国際社会による「人的・制度的能力向上」のための資金的・技術的支援が不可欠であろう。すなわち、TICADIVや洞爺湖サミットでは、アフリカ諸国の指導者たちは当然、京都議定書の第一次約束期間(2008~2012)での義務的目標値の達成のみならず、2013年以降のGHG大量排出国による地球温暖化削減・防止への一層の取り組みを声高に要請するであろう。またそれと同時に、短期的には「気候変動への適応」のための一層の国際協力を求めてくるであろう。特に、最貧国が多いSSA諸国による「適応」のための技術的、資金的、制度的支援の一層の拡大要求に対して、先進諸国や国際機関は真正面から応えることが重要である。
そのためにも、本年1月に開催されたダボス会議で福田総理が提唱した今後5年間における100億米ドルの気候変動支援は、他の国々の拠出額の増大により世界的規模で一層拡大させると同時に、アフリカ諸国や他の最貧国や小規模島嶼国からすれば、単に温暖化削減・防止に取り組む途上国のみならず、温暖化への適応に通り組む途上国へも適用することが妥当であろう。もちろん、国連気候変動枠組み条約の下で既に設立された「適応基金」への一層の拠出も一案であろう。(おわり)
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