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2008-03-04 00:00
(連載)日本の対アフリカ環境協力のあり方(2)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
近年の原油価格の急騰とアフリカにおける中国等の石油資源開発の動きに敏感になっている日本の産業界や政界にとっては、日本が今後如何にしてアフリカ地域での石油、希金属、その他の資源開発を積極的に推進するかが最大の関心事であって、「気候変動と資源稀少化」問題は、従来関心の外にあったといってよいであろう。
サハラ砂漠以南のアフリカ地域(SSA)における温室効果ガス(GHG)、特に二酸化炭素の排出量は、2004年段階でも世界全体の僅か2.3%で、他のどの地域よりも低かった。UNDPの『人間開発報告書』2008年版によれば、先進諸国は46.0%、東アジア太平洋地域は23.1%、中東欧・中央アジア地域は10.9%、南アジア地域は6.7%、ラ米地域は4.9%。アラブ地域は4.%であった。
しかし、近年の気候激変は、特にアフリカ大陸の貧困層を直撃している。海水面の上昇による沿岸地域の侵食は、インド洋、大西洋岸で既に観察されており、台風やハリケーンを伴う暴風雨、大洪水、さらには長期に及ぶ日照・旱魃による河川・湖沼の水量の激減・消滅や砂漠化の拡大、農地の塩害化は、アフリカ諸国で深刻な問題をもたらしている。その結果、いたるところで農民・農村の貧困が激化しており、環境難民さえも続出しているのが現状である。また最近では、エタノール生産のための油やしやその他の作物への転換が、農民を穀物生産農地から追い出し、貧農を一層増大させている。
また、貧困に基因する森林資源の伐採・枯渇、過放牧による牧草地の破壊、化学肥料・農薬の過大使用による土壌の汚染や河川の水質汚濁、近海における漁業資源の枯渇は、アフリカ大陸全体で農牧漁民にとって深刻な問題となっている。これらに輪をかけているのが、国内外企業による化石燃料資源をはじめとする鉱物資源の乱開発に基づく大気汚染、水質汚濁、土壌汚染である。
そして、先に述べたように商品作物に転換して未加工一次産品の輸出に依存したアフリカ諸国では、食糧輸入の増大と世界的な燃料価格の高騰に伴う通貨の平価切下げが、食糧価格や消費者物価の上昇をもたらしており、都市の貧困層の生活さえ苦しくなっているのが現状である。これらの結果、アフリカ諸国における貧富格差は、従来の都市・農村間の所得・消費格差と共に一層拡大し、国内の社会・政治不安の激化の潜在的な要因となっている。(つづく)
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