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2008-02-15 00:00
外国人登録制度の改正と東アジア共同体
石垣泰司
東海大学法科大学院非常勤教授
最近、わが国の古くからの外国人登録制度が抜本的に改正される見通しとなったことが報じられている。 同制度は、特別永住者の指紋押捺制度も絡み大きな論議を呼んだわが国独特のものであった。 永住者・特別永住者の指紋押捺制度はすでに廃止されたが、外国人登録制度は存続し、わが国に在留する外国人の実情を把握する唯一の法制度として一定の機能を果たしてきた。しかし以前に本論壇拙稿の中で論じたように(「登録制度の再定義の必要性に同感」2006-07-17 )、多くの欠点を抱え、早急な見直し、制度改正の必要に迫られていた。
報道によれば、法務、総務両省は1月、現行の外国人登録制度を廃止し、日本人の住民基本台帳と同様の在留管理制度を導入する方針を固め、鳩山邦夫法相は「現行制度は廃止の方向で決めつつあり、次期通常国会に関連法案を出したい」と述べたという。 現行制度では、在留外国人は個々人単位で登録されるため、世帯ごとの現況を把握できない形となっている。しかも転出届の提出も義務化されておらず、就学手続きや健康保険加入などの基礎資料としては、不備が多かった。入管当局の在留管理という限定的目的だけから設けられた、非常に不完全な制度であった。新制度では、外国人の在留管理について世帯単位で把握し、外国人登録証明書に代わる「在留カード」を発行する仕組みが検討されており、日本人の住民基本台帳に類似する制度が考えられているようだ。
本問題は、一見、東アジア共同体とは何の関係もなさそうであるが、長期的に東アジア共同体に向けて基盤整備を進めていく場合、構成国の人口統計、内国民・外国人、域内国籍・域外国籍、などの正確な現況および動態の把握は、最も基本的作業となるものと予想される。 わが国の戸籍制度や住民台帳制度は、世界的にも優れた制度とされており、この面で1つのモデルとなりうることは間違いない。もとより東アジア共同体に直接関連してそのような作業が必要となるのはかなり先の話であり、各国の制度をわが国の制度に合わせるというより、まず各国制度のハーモナイゼーションが検討されることになろうが、その場合でも各国の既存の制度的仕組みがベースとなるものと考えられる。 従って、わが国の新たな外国人在留管理制度も、国際的視座から注目されることになることを十分念頭に置きつつ、わが国行政および社会のニーズに合致した制度づくりが行われるよう期待する。
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