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2008-02-06 00:00
市場における流動性こそ富の源泉である
四条秀雄
不動産業
日経平均は1月に1万3千円割れをし、優良株の配当利回りが長期金利を上回った状態で放置されています。なぜ日本人は預金を下ろしてこうした株に替えないのでしょう?政府高官は「なぜこうも下がるのか理解できない」とのコメントを出していますが、これは、長年日本政府が、市場という市場で流動性を排除して、官による統制や割当てを志向してきた結果だと思います。日本において市場と言われているものは、実際にはインサイダーまがいの利益配分手段である割当てと、それ以外の賭場のようにいかがわしいシーソー遊具の別名にすぎません。とにかく流動性が著しく低いのです。ですから、流動性を欠いている日本人の富は、誰もが認める真の富ではありません。どんなに資産を持っていても、日本人は、あくせくと疑心にかられている落ち着きの無い小金持ちたちなのです。
富というのは、流動性の裏打ちがあってはじめて、誰からも富と看做されます。流動性は市場で供給され、安定した文脈に支えられて、初めて流動性と言えるのであって、そのとき富は乱高下しません。日本政府が、もし日本を真に富める国にしたいと考えるのであれば、政策的に追い求めるべきは、市場における流動性の確立です。そうすれば、可能性としては全てのものが富となりえます。株式市場の乱高下を放置すべきではありません。それは結局、流動性を失わせ、富を失わせます。同じように、不動産市場も乱高下させるべきでありません。どうしたら市場が、乱高下せず、穏やかな変動をするようになるか、そのことに問題意識を持つべきです。もちろん、価格の乱高下や市場流動性の奔流と枯渇は血湧き肉踊るものですが、それらの目的のためには賭博場を別に用意しなくてはなりません。
昨今デリバティブと呼ばれているものは、将来の状態に対して先に契約する商品といえますが、この商品の重要な概念にボラティリティーというものがあります。これは流動性の変動の度合いを意味するそうですが、こういう商品を悪用すれば、商品を先に売っておいてボラティリティーを上げ、想定外の損失を売却先に与える一群の詐欺的な手法が登場する可能性があるのではないでしょうか。これは流動性を不当に変動させる点で反市場的な操作です。これを取り締まる手法も考えた方が良いのではないでしょうか?
最近、経産省の高官が「株主はバカで浮気で無責任だから、議決権を与える必要はない」と発言された由ですが、退職されたら是非株式投資をやってみていただきたいと思います。株価がいろいろな文脈を織り込んで形成されることを、すぐに理解されることでしょう。また、若者のデイトレーダーは資金がありませんから、売買を繰り返すしかありません。それでも学び、情報を取り込み、株価を形成します。やがて少数が生き残り、資金をもつ欧米的な投資家に育つのではないでしょうか?日本には、この手の投資家が不足しています。また、経営者は、政官の手を離れた株価が、自社の姿を良く映すことを知るべきです。
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